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社員旅行は経費で落ちるの?社員旅行を経費計上する際の注意点も紹介

毎日懸命に働いてくれる従業員の為に、時には社員旅行を開催したいと考える経営者は多いのではないでしょうか?実は、社員旅行でかかった費用は経費として計上できる場合があります。しかし、経費として認められるには様々な条件があります。今回は社員旅行の経費について紹介します!

公開日 : 2021/02/15

更新日 : 2021/02/15

目次

社員旅行を経費計上する事例をチェック!

社員旅行を実施する会社は少なくなったものの、現在でも毎年社員旅行を計画しているところは一定数あります。社員旅行を行うと、リフレッシュになるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションが活発になります。

 

さらに、社員全体で団体行動することから、チームワークの強化にもつながります。また、近年では、社員教育の一環として研修やトレーニングを兼ねた社員旅行も増えています。今回は、そんなメリットいっぱいの社員旅行について、お金の面から話をしてみましょう。

社員旅行でかかる費用は経費として計上できるの?

会社経営者のAさんは、日ごろ頑張って働いてくれている社員のために、初めての社員旅行を開催しようと思い立ちました。しかし社員旅行にかかる費用についての心配は大きいです。Aさんは、社員旅行の費用を経費で落とせるのか、また経費とするためにはどうすればよいのか、悩んでいます…。

社員旅行を経費計上するための条件とは?

結論から言えば、社員旅行は経費として落とすことができます。ただし、経費として落とすには、一定の条件を満たす必要があります。また、社長とその家族という特定の者しか利益を利益を享受しないため、家族のみしかいない会社において、社員旅行を経費とするのは極めて厳しいです。

「期間」「人数」「金額」に注意が必要!

社員旅行ならばすべて経費にできるわけではありません。社員旅行が経費として認められるには「期間」「人数」「金額」という3つのポイントを押さえる必要があります。それでは、それぞれのポイントとクリアすべき条件について、さっそく見ていきましょう。

社員旅行は経費で落ちるの?

社員旅行の費用を経費で落とす方法について解説します。まず大切な前提として、社員旅行の費用は「福利厚生費」という勘定科目で仕訳する、ということをご紹介します。

「福利厚生費」として経費計上が可能

原則として勘定科目の設定は自由です。ただし、前述のように社員旅行の費用は「福利厚生費」という勘定科目で仕訳するのが一般的です。そもそも福利厚生費とは、従業員にとってよりよい就業環境や私生活のサポートを目的として、役員以外の従業員に公平に支払われる給与以外のお金のことです。

 

社員旅行は社員の慰労やチームワーク・コミュニケーションの向上を目的としているため、福利厚生の一環と捉えることができます。また、福利厚生費として認められる事柄には、ある一定の条件を満たさなければなりませんが、社員旅行はその性質上、福利厚生費の条件を満たしているといえます。

福利厚生費として経費計上するための条件

福利厚生費として認められるには、以下の3点を満たす事柄でなければなりません。それぞれのポイントについて解説していきます。

従業員すべてを対象者にする

福利厚生費とは、従業員の士気を高めるためや、職場環境の充実・向上のために与えられる非金銭の報酬です。そのため、一部の従業員だけが利用できるものは、福利厚生費とはいえません。

 

福利厚生費として認められる第一の条件として、「従業員全員に等しく公平に与えられるもの」ということが挙げられます。一部の従業員や役員にのみ支払われる非金銭の報酬は、実質的には給与として扱われます。

現金での支給ではないこと

福利厚生費は、現金として支給することはできません。かならず物品や旅行などのサービスといった形にかえて、従業員に提供する必要があります。もし現金を支給した場合は、経済的利益があるため、福利厚生費ではなく給与として扱われます。

社会通念上で常識範囲内であること

福利厚生費として認められるには、一般的な常識の範囲内の金額であることが大切です。たとえば会社の負担額が極端に高額であったり、長期にわたって支払い続けたために高額になったりした場合は、社会通念上の常識の範囲内とは言えません。

社員旅行を経費計上するための注意点とは?

続いて、社員旅行を経費として計上する際の注意点についてみていきましょう。前述のように、社員旅行を経費として計上するには「期間」「人数」「金額」の3つのポイントが大切です。国税庁のタックスアンサー参照して、より具体的にそれぞれのポイントについて解説していきます。

旅行期間

費用を経費で落とせる社員旅行の期間には、国税庁によって明確な決まりがあります。すなわち、「4泊5日以内」です。ちなみに海外旅行の場合、「外国での滞在日数が4泊5日以内」とされており、機内泊はこの期間に含まれません。そのため、移動の関係上4泊6日となる場合も原則許容されます。

 

実際の旅行の日程は、旅程表によって確認できます。そのため、社員旅行の費用を経費で計上する場合は、税務署の税務調査に備えて旅程表を保管しておくことが大切です。

全体の半数以上の参加人数

福利厚生費は、社員すべてに平等に与えられるものである必要がある、ということは先ほどご紹介しました。つまり、社員旅行の費用を福利厚生費で仕訳する場合は、社員全員の参加が求められます。しかし実際に従業員すべてが社員旅行に参加する必要はなく、「従業員の50%以上の参加」が必要とされています。

 

この場合、会社単位で考える必要はなく、たとえば支店や工場ごとに達成していればOKとされます。また、従業員には社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用者も含まれます

会社負担額

社員旅行費用を経費で落とすためには、1人あたりの負担額が一般常識の範囲内でなければなりません。会社が負担する1人あたりの旅行費用は、「おおむね10万円」が限度といわれています。このとき、大切なのは会社の負担額が10万円以下であることです。

 

たとえば実際に支払った1人あたりの旅行費用が15万円だったとします。会社と本人で費用を半分ずつ折半した場合、会社の負担額は1人あたり7万5000円となります。これは10万円を下回るため、福利厚生費として認められます。

また、10万円は1回あたりの旅行費用です。たとえば3年に1度社員旅行をする会社の場合、その1回で10万円×3年分=30万円の費用を会社で負担することは認められていません。

社員旅行が経費にならない場合とは?

社員旅行費用を福利厚生費として経費で落とすには、一定の条件を満たさなければなりません。もし、1つでも条件をクリアできなかった場合は、社員旅行として認められず、費用を経費で落とすことができなくなります。

 

社員旅行として認められなかった実際のケースをいくつかご紹介します。楽しい旅行のはずが、あとからお金のことでトラブルが起きた!という事態にならないためにも、ぜひ参考にしてください。

不参加の従業員に旅費分を金銭で支給した

福利厚生費は従業員全員に支給される非金銭の報酬です。もし社員旅行に不参加だった従業員に旅行費用を現金で支給した場合、金銭的な授受があることになります。現金ではなく旅行券やクーポンで支給した場合も同様です。

 

金銭の支給があると判断される場合、社員旅行として認められません。つまり不参加だった従業員だけでなく、旅行に参加した従業員の参加費も、福利厚生費として認められなくなります。それだけでなく、社員旅行に参加した従業員全員の旅行費は、所得税の課税対象となります。

 

以上は社員旅行が経費として認められないケースとして代表的なものです。ただし、宿直当番など、業務上やむを得ない理由で旅行に不参加だった従業員に限っては、旅行費用を現金で支給されることは可能です。その場合は、支給を受けた従業員にのみ給与の所得税が課税されます。

「期間」「人数」「金額」の3要素を満たさない

社員旅行として認められるには「期間」「人数」「金額」の3要素を満たす必要があることは、先にも述べました。この3つの条件のうち、いずれか1つでもクリアできていない場合は、社員旅行として認められず、費用を福利厚生費で落とすことはできません。

 

具体的には、「日程は4泊5日以内」「従業員数50%以上の参加」「会社の負担額が1人あたり10万円まで」という条件です。社員旅行費用を経費で落とすには、以上の条件をクリアした社員旅行を行いましょう。もし1つでも条件を満たさない場合は、給与扱いとなり、所得税の課税対象となります。

役員のみが参加可能な社員旅行

役員だけが参加できる社員旅行の費用は、福利厚生費として認められません。社員旅行とは従業員全体の慰安を目的にしているため、役員のみの社員旅行はその目的から逸脱することになります。おなじく、「営業成績優秀者のみ」のような限定的な旅行も、福利厚生の範囲には含まれません。

 

ただし、役員のみが参加できる旅行の目的が業務上必要のものである場合は、その旅行費は福利厚生費以外の勘定科目で仕訳できる可能性があります。業務上必要な目的には、たとえば今後の企業戦略を練る目的などがあります。また、福利厚生費以外の勘定科目の例としては「旅費交通費」などが挙げられます。

取引先の接待としての社員旅行

社員旅行に、取引先などの外部者が参加した場合は、福利厚生費として認められません。社員旅行は従業員の慰安が目的であり、取引先などの外部者が参加した場合は接待と見なされます。接待と見なされた場合、外部者の旅行費用は交際費などの勘定科目で仕訳する必要があります。

家族同伴の社員旅行は注意が必要

従業員の家族が参加した場合も、その費用は福利厚生費として認められません。家族同伴で社員旅行を行うことは可能です。ただしその場合、会社が福利厚生費として負担できるのは従業員分の費用だけであり、家族分の費用は家族が負担する必要があります。

 

あるいは、家族同伴で社員旅行を行う場合は、あらかじめ家族分の旅費を実費で受け取っておく方法もあります。その際は、家族分の旅費を受け取った証明として、領収書を発行することを忘れないでください。

もし経費として認められなかった場合について

社員旅行費用が福利厚生費として認められない場合、その費用は給与扱いとなります。旅行費が給与扱いとなった場合は、さまざまな問題が起こります。たとえば給与は所得税の課税対象です。つまり、社員旅行費用が給与扱いとなった場合は、会社側は給与計算をやり直し、源泉徴収を行わなければなりません。

 

また、給与所得者もそれぞれに所得税を納めなければなりません。さらに、この手続きが遅れた場合は、ペナルティとして、会社は税額の10%の不納付加算税と、利息相当の延滞税を支払う羽目になります。

社員旅行の経費に関する過去の判例をチェック!

社員旅行は「期間」「人数」「金額」の3つの条件を満たさなければなりません。このうち、判断が難しいのが「金額」です。実際に金額の条件を満たせずに、福利厚生費として認められなかった裁判例をご紹介します。

「社会通念上一般的ではない」として認められなかった判例

とある会社が、社員旅行として2泊3日のマカオ旅行に出かけました。参加人数は従業員数の50%を上回っており、1人あたりの旅行費用は24万円以上でした。このとき、「期間」と「人数」の条件はたしかにクリアしています。

 

社員旅行として認められなかったのは、その費用が社会通念上の常識の範囲を逸脱しているとみなされたためです。社員旅行で海外に行く場合、会社が負担する金額の平均相場は約8万円です。その70%にあたる5万6000円が、社会通念上一般的な基準として適用されました。この基準と照らし合わせて、24万円のマカオ旅行は一般常識外の金額と判断されました。

常識的な範囲か迷ったら税理士に相談!

社員旅行の内容は会社によって異なるため、それが一般常識の範囲内であるかは、判断に迷うところです。もし判断に困ったときは、税の専門家である税理士に相談してみるのがおすすめです。

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