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受取利息の仕訳はどうすればいいの? 法人と個人事業主で違う点も

銀行に預けたお金などから発生する利息。収益に該当するため所得税の課税対象となりますが、どのように仕訳すればいいのでしょうか。今回は法人と個人事業主、それぞれの場合の受取利息の仕訳方法や、細かい注意点についても紹介します。

公開日 : 2021/02/15

更新日 : 2021/02/15

目次

受取利息の仕訳方法

経理や会計処理をすると必ずと言って良いほど登場するのが受取利息です。受取利息の仕訳はどのようにすれば良いのでしょう。受取利息の意味などと合わせて解説します。

受取利息は主に預貯金や貸付金、有価証券から得られる

受取利息の辞書的な意味合いは、預金や貯金、貸付金や有価証券などから得られる利子のこととされています。銀行などの金融機関でお金を預けている場合、定期的に利子が付きます。その利子のことを受取利息というのです。

 

また、国債や地方債、社債などのような有価証券にも定期的に利子が付きます。これらも銀行などの金融機関から得られる利子と同様に、受取利息と言われています。

受取利息は法人と個人事業主で仕訳方法が異なる

一口に「受取利息」と言っても、計上する際の事業の形態や実態などによって仕訳の方法は異なります。事業の形態とは、具体的には法人か個人事業主かということです。

 

法人の場合と個人事業主の場合では、受取利息の勘定項目やそれにかかる税の種類は異なります。同じ「受取利息」でも、事業の形態や実態によってその意味合いや税が変わるので、注意してください。

受取利息には源泉所得税がかかる

受取利息は「受取」という言葉が入っているようにお金を受け取っているので、収入とみなされます。収入には税金がかかります。受取利息も収入ですから税金が課せられるのです。受取利息に課せられる税金には源泉所得税と復興特別所得税の2つがあります。

 

源泉所得税は所得にかかる税金ですが、受取利息も所得の一部とみなされているので課せられます。また、復興特別所得税とは、東日本大震災での被害から復興するために必要な資金を集めるために実施されている税金です。

 

受取利息に課せられる税率は、源泉所得税と復興特別所得税の2つを合わせて15.315%です。この税率を受取利息にかけた金額を受取利息から差し引かれます。

 

また、個人事業主の場合は上記の2つの税金以外に住民税利子割という税金が課せられます。税率は5%で、受取利息にかけた金額を受取利息から差し引かれます。

簿記での勘定項目

法人が受取利息を簿記上で処理する場合、受取利息の科目は受取利息、受取利息から差し引かれた源泉所得税は、法人税、住民税及び事業税の科目で処理します。

法人における受取利息の仕訳と計算方法

法人の場合の受取利息の仕訳や計算方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

原則的な方法とは、受け取る利息の全額を帳簿上に記帳し、さらに実際の入金額と差し引かれた税金の金額を記帳する方法です。

具体的な事例(法人の場合)

ある法人は、受取利息として5,000円が銀行口座に振り込まれていました。その場合の仕訳の方法を、原則と純額主義とに分けてそれぞれ紹介します。

 

<原則的な方法>

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 4,235 受取利息 5,000
法人税、住民税及び事業税 765    

 

「法人税、住民税及び事業税」は、源泉所得税と復興特別所得税の2つの税率を合算した15.315%を受け取った利息にかけて算出します。小数点以下は切り捨てです。

個人事業主における受取利息の仕訳と計算方法

個人事業主の場合の受取利息の仕訳や計算方法は、法人の場合とは異なります。個人事業主の場合に着目して解説しますので、参考にしてください。

勘定科目は「事業主借」

個人事業主の場合、受取利息は「事業主借」という特殊な勘定科目を使用します。その理由として、法人の場合と税の種類・税率などが異なるからです。

 

法人の場合は、税率をかけて法人税を算出します。法人が受け取ったすべての収入に対し、経費を差し引き利益を計算します。税率をかけるのは所得、利益についてです。しかし、個人の場合は、所得が10個に分けられており、それぞれに対してかかる税率も異なります。その10個の所得と内容は以下の通りです。

 

所得の種類 内容
利子所得 銀行などに預けている預貯金に対する利息
配当所得 株主や出資者が受け取る配当金など
不動産所得 土地や建物などの貸し付けで得られる所得
事業所得 事業で得られる所得
給与所得 給料や賞与などのこと
退職所得 退職金
山林所得 山林を伐採し、譲渡して得られる所得
譲渡所得 土地や建物のような資産を譲渡することによって得られる所得
一時所得 上記の所得に当てはまらない維持知的に得られる所得
雑所得 上記の9つの所得のいずれにも当てはまらない所得

 

この中で、受取利息がどれに当たるのかについては、以下の項目で詳しく解説します。

具体的な事例(個人の場合)

Aさんは個人事業主として5,000円の受取利息を受け取りました。その際の計算方法と仕訳方法を紹介します。

 

まず、個人事業主が受取利息を受け取った場合、源泉所得税と復興特別所得税を合算した15.315%とは別に、住民税利子割の5%が加算されます。そのため、受取利息に課せられる税率は15.315%と5%を足して、20.315%で計算します。

 

Aさんは5,000円の受取利息を受け取っているので、1,015円が税金として算出されます。小数点以下は切り捨てです。5,000円から1,015円を差し引いた3,985円が収入です。

 

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 3,985 事業主借 3,985

 

法人の場合には、勘定科目として「受取利息」が登場しました。しかし、個人事業主の場合は事業で受け取った所得ではないので、「受取利息」の代わりに「事業主借」を使用して上記のように仕訳を行います。

事業主借で表記する理由

個人事業主の場合、受取利息は「事業所得」ではなく「利子所得」に該当します。受取利息は事業で得た所得ではないということです。

 

事業以外で得た所得は、事業所得と明確に区別しておく必要があります。事業以外の所得はプライベートで得た所得とみなされるため、「事業主借」で表記するのです。

受取利息の細かい注意点

受取利息についてはさらに細かな注意点があります。この注意点を知っていないと、損をする可能性も出てきます。特に注意していただきたい点について紹介しますので、参考にしてください。

消費税はかからない

受取利息は消費税の非課税です。その理由は、受取利息はサービスなどの消費に当たらないからです。

 

消費税とは、物品やサービスを利用する上での消費に負担を求める税金です。課税になじまないとされている資金の流れに関する取引については、非課税とされています。

 

  1. 預貯金や貸付金に対して発生する利子
  2. 国際・地方債・社債などに発生する利子
  3. 保険料
  4. 保険料に類する共済掛金
  5. 手形の割引料
  6. 有価証券の賃貸料

 

上記は課税対象外とされている資金の流れに関する取引の一部です。受取利息は上記のうちの「1.預貯金や貸付金に対して発生する利子」に含まれます。

 

受取利息も資金の流れという取引の上で生じた利益です。課税になじまないとされている非課税に含まれているため、消費税はかかりません。

損益計算書では収益扱い

受取利息は損益計算書では、収益扱いです。理由は、利子としていくらかのお金を得ているからです。お金を得ればそれは収益になります。そのため、収益扱いとして計上します。

 

なお、受取利息は損益計算書上では「営業外収益」欄に表示します。受取利息は本業の営業以外で得た収益なので、「営業外収益」欄に表示することになっているのです。

個人事業主が自分で貸したお金で利息を受け取った場合

個人事業主が個人的に貸したお金に対して利息を受け取った場合、その利息はどのように扱われるのでしょう。さまざまなパターンを用いて解説します。

預金以外の受取利息の注意点

貸付金という勘定科目は資産に当たります。お金を貸しているのに資産になるというのはおかしいと感じるかもしれません。

 

貸付金は、いずれ貸したお金が返ってくることが前提です。また、返してもらうという権利も発生しています。お金を回収する権利が発生する貸付金は、その権利の意味合いから資産として計上されるのです。

 

また、貸付金に対する受取利息は、利息としてのお金を受け取っているので収入です。収入はすべて収益になるので、受取利息は収益になります。

友人にお金を貸した場合

個人事業主のAさんは、友人に個人的に40,000円を貸しました。その後、友人は元金の40,000円に利子として2,000円を加算して、42,000円をAさんに返金しました。この場合の仕訳は以下の通りです。

 

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 42,000 事業主借 42,000

 

友人に貸した40,000円は事業とは無関係です。その事業とは無関係の元金に対して受け取った受取利息の2,000円は、事業所得はもちろん、利子所得にも該当しません。この場合の受取利息は雑所得になります。

 

雑所得は確定申告が必要です。そのため、利息として受け取った2,000円は雑所得として確定申告をしなければならないのです。

従業員にお金を貸した場合

個人事業主のBさんは、従業員に40,000円を貸しました。従業員は後日、借りた40,000万円の元金に利子として2,000円を追加し、42,000円をAさんに返却しました。この場合の仕訳方法は以下の通りです。

 

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 42,000円 貸付金 40,000円
    受取利息 2,000円

 

従業員にお金を貸した場合は、事業を行うにあたってそれに付随する資金の移動と判断されます。そのため、貸した40,000円は「事業主借」ではなく「貸付金」として計上します。

 

また、40,000円に対して発生した2,000円の利息は、貸付金に対して発生している利息です。事業に付随する収入となるので、「受取利息」という勘定科目で計上し、事業所得に含まれます。

受取利息の出所と自分の区分を理解して正しく仕訳しよう

一口に受取利息と言っても、事業の規模や出所によって仕訳の仕方は大きく異なります。すべての受取利息の仕訳方法が同じ、というわけではないのです。

受取利息は区分や仕訳方法が難しい点でもあります。正しく仕訳をするためには、出所はもちろん、自分自身の区分も理解しておく必要があるでしょう。

紹介した受取利息の区分や税率などを参考にしていただき、正しい仕訳を行うように心がけてください。

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