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話題のベンチャーキャピタルとは?【仕組みや役割をわかりやすく徹底解説】

会社設立すると会社成長のために資金が必要になるため、資金調達が重要になってきますよね。そこで話題なのがベンチャーキャピタルと呼ばれる投資会社です。今回はそんなベンチャーキャピタルの仕組み・種類・メリット・デメリットをわかりやすく紹介します。

公開日 : 2021/01/17

更新日 : 2021/01/17

目次

起業のために資金確保する事例と回答とは?

自分の企業を成長させるためには誰かの支援が必要な場合もあります。そのような時に銀行などからの融資を受けるのですが、銀行は審査が厳しくて中々通らないですよね。銀行の審査が通らず、どうやって資金を確保したらいいのかわからないという方もいると思います。そんな事例を以下で紹介します。

起業のために資金確保する事例

Bさんは、自分の会社を急激に成長させたいと思っています。そのためには銀行からの融資が必要だと考えた結果厳しい審査を覚悟して、銀行へ向いました。しかし案の定審査は通らず、急成長のための資金を手に入れる方法は何か他にないのか悩んでいました。

 

銀行に断られてしまった。でもいち早く急成長させたい。どうすればいいのか…

起業のために資金確保する事例に対する回答

そのほかの方法はあります。それは、「ベンチャーキャピタル」を活用することです。しかし、ベンチャーキャピタルときいてピンとくる方は少ないと思います。以下の見出しではベンチャーキャピタルとはどのようなものなのかを説明していくので参考にしてみてください。

ベンチャーキャピタルってなに?

皆さんの中には「ベンチャーキャピタル」という単語を初めて聞いたという方が多いのではないでしょうか?まずはこの単語の意味を理解しなくてはこの記事を読み進めていくのことができなくなってしまうので、この見出しでは概要を紹介していきます。

 

後半には、ベンチャーキャピタルから融資を受けるメリットやデメリットも紹介していますので、是非最後までご覧ください。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業など、高い成長が予想される未上場企業に対して出資を行う投資会社のことをいいます。ベンチャーキャピタルは未上場企業に資金を投下するだけではありません。資金投下と同時に、ハンズオンと呼ばれる経営支援を行うことで企業の価値向上を図り、キャピタルゲイン(当初の投資額と株式公開後の売却額との差額)がより高まるような支援を行います。

ベンチャーキャピタルの資金調達や投資スキームについて

企業の資金調達ニーズとベンチャーキャピタル(VC)の資金提供ニーズが合致すれば、VCから投資が行われます。VCは投資により無担保で返済義務のないリスクマネーを提供し、対価として当該企業の株式を取得します。その投資先が上場などすることで株式を売却し、キャピタルゲインを得ます。

 

またどのような投資スキームによって利益を得ているのかについて以下に説明してるので参考にしてみてください。

 

  1. VCがファンドを組成し、無限責任組合員としてファンドの管理運営を行います。
  2. 組成されたファンドへの出資を募り、ファンドの趣旨に賛同された方々が出資を行います。これにより、投資に必要な資金が確保されます。
  3. VCが様々なルートからベンチャー企業にアプローチし、投資を行うか否か審査を行います。
  4. 審査を通過したベンチャー企業に対し、ファンドより投資を行います。
  5. 投資を行ったベンチャー企業に対して、VCが育成支援を行います。また、育成支援の過程で投資先企業からVC、VCから組合員へと情報提供がなされます。
  6. 投資を受け入れたベンチャー企業が株式上場するなどして、ファンドの保有株式を売却等することをEXIT(出口)と呼びます。
  7. ファンドは保有株式の売却などにより、資金回収を行います。ファンドは回収した資金を出資者に分配し、最終的に出資者に清算されます。

 

以上のように、ベンチャーキャピタルは「ファンドの運営責任者」としての側面を持っておりその職責上ファンドのリターンを最大化することが求められます。

同じ投資でも銀行とベンチャーキャピタルに違いはあるのか

企業に投資をする点で、銀行とどこが違うのかという疑問が生まれるかもしれません。その違いを把握しておきましょう。

銀行の場合

銀行は企業にお金を貸し出すことになるので、最終的には企業側はお金を返済する必要があります。また融資された資金には利子が発生します。銀行から融資を受けるためには、信用と担保が必要です。

 

起業したばかりの会社では信用と担保が不足しているので、融資を受けられる可能性が低いです。銀行から融資を受ける場合は事業計画書の他、利益計算書など様々な書類を用意しなければなりません。その内容は細かく審査されるので注意が必要です。

ベンチャーキャピタルの場合

ベンチャーキャピタルは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップ企業の将来の成長を見込んで資金を「融資」ではなく「出資」する形になります。そのため、資金を返済する必要はありませんが、企業が成長や上場したときに株式を売却することで資金を得ています。

 

ただ、投資した企業が成長せずに上場しなかったり、事業に失敗したりすれば投資資金を回収できなくなります。それを避けるために、ベンチャーキャピタルは投資先企業の成長支援継続していきます。

 

成長支援の方法はベンチャーキャピタルによって異なりますが、自社の社員を投資先企業のメンバーとして参加させる場合もあれば、外部コンサルティングを使う場合もあります。また「ベンチャーキャピタルの投資担当者が投資先企業の社外取締役に就任して経営に参加していく」という場合もあります。

 

なお、ベンチャーキャピタルから出資を受ける場合、事業計画書などの書類を用意する必要があります。しかし、銀行とベンチャーキャピタルとでは審査のポイントが異なり、ベンチャーキャピタルの投資ではその企業のビジネスモデルが重要視される傾向があります。

ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリット

それでは、ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?主に3つあるので、説明していきます。是非参考にしてみてください。

財務状況が改善し、借入を受けやすくなることもある

ベンチャーキャピタルから投資を受けることで財務状況が改善し、金融機関からの融資を受けやすくなる可能性が上がるかもしれません。その理由は、有名なベンチャーキャピタルから投資を受けた企業は、「ベンチャーキャピタルからその企業の事業内容やビジネスモデルが評価されている」と世間から認知されるからです。

 

事業をさらに拡大したいときに追加出資を受けられやすくなることは、企業にとって有利になります。

事業提携をしやすくなる

ベンチャーキャピタルは投資を行っている複数の企業を抱えています。そこで、投資先の企業同士が事業提携をすることで、シナジー効果(複数の企業や企業内の異なる事業部門が協働して得られる相乗効果)を得られる場合もあります。

 

事業提携することで企業が成長すれば、より多くのキャピタルゲインを受け取れることになります。ベンチャーキャピタル側にもメリットが生じることから、積極的な事業提携がなされるわけです。

会社を営業するために必要なノウハウを提供してもらえる

ベンチャーキャピタルが経営に関与することで、経営に関する知識・経験やノウハウを提供してもらえるようになります。ベンチャーキャピタルには、多くの企業を見てきた経験から、さまざまなスキルやノウハウが蓄積されているのです。

 

蓄積されたそれらを提供してもらうことで、自社事業の軌道修正ができるようになります。ベンチャー企業やスタートアップ企業は、一般的に経営陣の年齢が若く経営に関する経験が不足しています。そこで、ベンチャーキャピタルが関与することにより、経営が円滑に進んでいく可能性も高まるのです。

ベンチャーキャピタルから投資を受けるデメリット

ベンチャーキャピタルから投資を受ける際に、一概には言えませんが、デメリットも存在します。二つの側面を知っておくことで、投資を受ける際に利益を得ることができるのか、はたまた損をしてしまうのかしっかり判断できるようになります。

株式買取請求を受けることもある

デメリットの一つに「株式上場やM&Aによる会社売却などが予想どおりにいかなくなると、株式買取を迫られる可能性がある」というものがあります。ベンチャーキャピタルの目的は、将来性がある企業に投資して利益を得ることです。そのため、利益が生み出せないと判断すれば、投下資本の買収を請求してくる可能性があります。

経営への干渉を受ける

ベンチャーキャピタルから経営への干渉を受けることもあります。自社が目指している経営の方向性がベンチャーキャピタルによって影響を受け、自社の描いた理想が崩れてしまう可能性が出てきます。

ベンチャーキャピタルの種類一覧

ベンチャーキャピタルは主に3つの種類に分けられます。それぞれ目的や特徴ごとに分類されているので、以下に紹介していきます。

独立系ベンチャーキャピタル

独立系ベンチャーキャピタルとは、投資家が独立して立ち上げたベンチャーキャピタルです。起業経験のあるベンチャーキャピタリストもいて、メリットとしては、独自のノウハウを提供できるというものがあります。企業との距離も近く、成長を見込んだ支援と出資を行うという特徴があります。

 

また、独立型ベンチャーキャピタルの代表的な会社にグロービス・キャピタル・パートナーズ」や「フェニックス・ベンチャーキャピタル」などがあります。

コーポレートベンチャーキャピタル

コーポレートベンチャーキャピタルは、事業会社が外部のベンチャー企業に投資を行うベンチャーキャピタルです。上場や売却による資金回収だけではなく、自社の事業とのシナジー効果を期待して出資します。そのため、新しい分野や専門性の高い分野への投資を行うという特徴があります。

 

また、コーポレートベンチャーキャピタルの代表的な会社に「伊藤忠テクノロジーベンチャーズ」や「サイバーエージェントベンチャーズ」などがあります。

金融機関系ベンチャーキャピタル

金融機関系ベンチャーキャピタルは、銀行など金融機関が設立したベンチャーキャピタルです。成長する可能性のある企業に対して投資を行い、上場後の売却などを目的にします。また、企業の成長後の将来的な融資先を確保するという目的もあります。

 

また、金融機関型ベンチャーキャピタルの代表的な会社に「みずほキャピタル」や「信金キャピタル」があります。

話題の大学系ベンチャーキャピタルとは【設立した経緯を紹介】

1998年、TLO法(大学等技術移転促進法)という研究機関での研究成果を民間事業者に移転することにより産業の活発化や大学などの研究の発展を促す法律が制定されたことにより全国の大学で技術移転・産学連携組織が設立され取組が進められました。これが大学型ベンチャーキャピタルの前身です。

 

九州大学や愛媛大学では、TLOが地域金融機関などと共同でベンチャーファンドを設立し、大学発ベンチャー企業に投資しています。また、東京大学では大学では初の民間のベンチャーキャピタルが設立され、それに続いて民間のベンチャーキャピタルが次々と設立されるようになります。

 

大学型ベンチャーキャピタルのメリットの一つとして、地域の活性化に繋がるという点があります。地域の金融機関などと連携してその計画を測っているようです。

国立大学4大ベンチャーキャピタル

国立大学のベンチャーキャピタルは計1000億円の出資を受けている、官民ファンドの一つです。豊富な資金を持つベンチャーキャピタルの影響力は大きく多くのベンチャー企業が誕生しています。

東北大学ベンチャーパートナーズ

「東北大学ベンチャーパートナーズ」東北大学の研究成果を新産業創設に生かすことを目標としています。投資方針と実績はNASAのプログラムにも採択された宇宙開発企業「ispace」、津波の浸水や被害推定システム「RTi-cast」、超低損失軟磁性材料を開発している「東北マグネットインスティチュート」などがあります。

「東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大ICP)」

東大IPCは東京大学100%出資で設立された「投資事業会社」です。東京大学周辺のイノベーション・エコシステム拡大も担っています。実績は、1号ファンドと2号ファンドをそれぞれ、2016年、2020年に立ち上げました。

 

1号ファンドでの目標は、民業への圧迫を避けるためファンドオブファンズとして投資、民間VCの投資の活発化であり、2号ファンドでの目標はカーブアウト、ジョイントベンチャー、プレシードベンチャー企業投資です。

京都大学イノベーションキャピタル

世界トップレベルの研究機関を活用し、次世代を担う産業の創造に貢献することを目的としているベンチャーキャピタルです。投資方針と実績は2016年「KYOTO-iCAP 1 号ファンド」を組成。ファンドの満期は20年で基礎研究に強みを持つ京都大学の研究成果の実用化を長期に渡って支援することが可能になっています。

大阪大学ベンチャーキャピタル

大阪大学の有する世界屈指の研究成果に社会価値を創出する事をミッションとして2014年12月に設立されました。投資を通して「社会への還元」「世界に通用するスタートアップ」を実現することを目標にしています。

 

投資方針や実績は、118億円の出資約束金額にて、 OUVC1号投資事業有限責任組合を設立しました。共同研究先企業とのジョイントベンチャーも重要な投資対象と位置付ける他、地域活性化につながる中堅・中小案件にも投資しています。

私立大学系ベンチャーキャピタル

私立大学のベンチャーキャピタルは独自に出資が可能なので、昔から実績があるベンチャーキャピタルがあります。それぞれ独自の方針で投資を行っています。

株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ

革新的な新事業を創設する、スタートアップ企業への投資を行い、新事業を創設し社会に貢献することを目標にしています。投資方針と実績は、慶應大学の研究成果を活用し、社会的にに大きなインパクトを生み出すベンチャー企業に投資を行っています。

 

2020年5月に設立した2号ファンドでは、慶應大学に限らず日本の大学や研究機関の研究結果を活用するベンチャー企業に投資する予定となっています。

東京理科大学イノベーション・キャピタル

社会イノベーションの実現に貢献し、世界の調和的かつ永続的な繁栄へ貢献することを目的としています。投資方針や実績は、品質の高い分散が可能な新しい個人向け資産運用サービスを2020年に開始予定の「株式会社sustenキャピタル・マネジメント」等に投資しています。

ベンチャーキャピタルを活用して成功した例とは?

Rettyは2011年6月にサービスを開始し、グルメに対してこだわりが強い人を対象にベストなお店が見つけられるグルメサービスを提供し成長している企業です。RettyはYJキャピタルに出資してもらい、戦略的なパートナーシップを結びました。

 

このパートナーシップの具体的な取り組みとしてユーザーのニーズにあった飲食店の出会いのサポートする取り組み、飲食店の予約・集客サービスの開発を行うこととしています。

ベンチャーキャピタルの仕組みを理解して投資を受けよう!

ベンチャーキャピタルについて理解できましたでしょうか?基本的に誰でも投資を受けることができるものですが、仕組みををしっかり頭に入れて理解しましょう。

 

また、ベンチャーキャピタルからの投資を受ける場合は、会社を設立するときではないでしょうか?そんな方はまず税理士に相談するのがいいでしょう。当サイトでは会社設立の際に発生する税金問題を解決してくれる税理士を探すことができますので、お探しの方はご利用ください。

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