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退職時に残っている有給休暇の買取は違法なのか?事例を用いて紹介!

転職や定年などの退職時に有給休暇が残っていると勿体ない気持ちになりますよね。そんな時、会社に残っている有給休暇分を買取ってほしいと考える方も多いのではないでしょうか?そこで今回は退職時の有給休暇の買取について事例を用いて紹介します!

公開日 : 2021/02/12

更新日 : 2021/02/12

目次

退職時の有給休暇買取に関するよくある事例をチェック!

退職時に使ってこなかった有給休暇は、そのまま無くなってしまうのでしょうか。それとも会社側で買取をしてくれるのでしょうか。ここでは、退職時の有給休暇買取に関する事例について解説をしていきます。

退職時に有給休暇は買取ってもらえるの?

原則として、会社が法定の有給休暇を買い上げることは認められていません。理由として会社は法によって定められている有給休暇を在職中の社員に与える義務があるからです。

 

有給休暇の役割とは、労働者がしっかりと休んで日々の疲れを回復させ、継続して意欲的に働けるようにするためのものです。会社が社員を休ませずに、代わりにお金を支給することは、有給休暇という制度の本来の目的とは離れてしまいます。

 

有給休暇は、労働基準法を上回る日数が付与されており、退職までに使い切れなかった場合や、残った休暇を会社が買い上げることは認められています。法定を上回る有給休暇は、会社が福利厚生の観点から社員に付与するインセンティブの様なものです。

 

しかし、注意が必要なのは有給休暇の買い上げについて会社側が認めていても就業規則に記載していないこともあります。また、退職する社員から買い上げてほしいと言われた場合にのみ、個別に判断することもあります。

 

使い切れなかった有給休暇を買い取ってもらいたい場合は、まず就業規則を確認するようにしましょう。記載がない場合でも、有給休暇の買取を認めている会社もあるため、一度確認しておくことをおすすめします。

退職時の有給休暇の買取は違法?

退職時の有給休暇を買い取ることは原則として認められていません。では、法に触れるような違法行為に当たるのでしょうか。ここでは、違法行為かどうかについて解説をしていきます。

退職時に有給休暇を買取ることは違法ではない

基本的には、会社側が金銭として有給休暇を買取ることは違法とされていますしかし例外があり、その中に退職時の有給休暇の買取が認められているケースもあります

 

一つ目は、労働基準法で定められた有給休暇の日数を超えて、有給休暇を付与している場合です。この場合は、法定日数を超えた分については買い上げが認められています。

 

二つ目は、「時効」で有給休暇が消滅してしまった場合です。有給休暇は付与されてから、2年間で権利が消滅することになっています。2年間で使い切れなかった有給休暇に関しては、買い上げが認められています。

 

三つ目は、退職する社員の有給休暇が退職日に未消化のままに残っているケースです。この場合は、退職後には有給休暇の権利を行使することが難しくなるため、未消化の日数を買い上げることが認められています。

 

しかしあくまでも、買い上げが認められているだけであり、会社が有給休暇を買い上げなければならないと決められているわけではないことを理解しましょう。

そもそも有給休暇とは?買取の義務はあるの?

そもそも有給休暇には、買取の義務はあるのでしょうか。ここでは、有給休暇について詳しく解説をしていきます。

有給休暇について

有給休暇とは、正式に「年次有給休暇」と呼び、賃金が支払われる休暇日のことを指します。雇用主は、条件を満たした従業員に対して、毎年一定の有給休暇を付与することが「労働基準法」によって義務付けられています。

 

もともと有給休暇は、休みを取ることで心身をリフレッシュさせることを理由として設けられた制度となっています。

有給休暇の取得日数

有給休暇は、雇用した日から数えて半年間勤務を継続し、さらに勤務日の80%以上働いた従業員に対しては、10日分の有給休暇を与えなければならない決まりがあります。

 

これは、正社員に限らず、パートやアルバイト、契約社員も含められており、所定の労働時間や日数、勤続年数に応じて比例付与する必要性があります。

 

例えば、週の所定労働時間が30時間未満のアルバイトが、週の所定労働日数4日で勤務する場合は、勤続年数が3年6ヶ月の場合に付与日数は10日となっています。

有給休暇に関する会社側の権利

有給休暇に関しては、労働者の権利であって会社側に申請を断る拒否権はありません。しかし、繁忙期など事業の正常な運営を妨げるような場合は、別の日に変更してほしいと会社が労働者に取得日時の変更を求めることができます。ただし、休まないでほしいとは言えないので注意しましょう。

 

また有給休暇を申請・取得する場合には、上司の承認を必要とします。承認については、形式的な確認として必要とする場合は問題ないのですが、有給休暇の取得について理由を述べる必要はなく、会社側は理由を聞いてはいけないものとされています。

 

しかし、複数の労働者が同日に一斉に有給取得を申請しようとした場合は、会社が時季変更権を行使しなければいけない場合や、理由によっては時季変更権行使を控えようという趣旨で理由を尋ねることは差支えなければいけないとされています。

有給休暇の買取は基本的に違法

結論から申し上げると、有給休暇を会社側で買取することは基本的に違法となっています。例えば、「有給を買取するので、退職日まで勤務をしてもらえないか?」と会社側から提案された場合に、すでに本人が退職の意思を決定した後であれば違法となってしまいます。

 

しかし、退職時以外で有給休暇の買取が可能となるケースは3つあります。それは、法定以上の日数の有給休暇が与えられているケース・すでに時効消滅した有給休暇を会社が買取するケース・退職する社員の有給休暇が退職日に未消化で残っているケースです。

 

これらのケースに関しては、会社側で買取をすることも可能とされています。

有給休暇を買取することができる3つの例外

ここでは、上記で説明をした有給休暇を買取する3つの例外について解説をしていきます。

法定以上の日数の有給休暇が与えられている

原則として有給休暇は10日間ですが、福利厚生で15日間に定めているなど、就業規則で10日以上に規定している企業も存在します。このようなケースは、余ってしまった規定以上である5日間は買取することが可能です。

2年を過ぎて時効消滅した有給休暇

有給休暇の期限は2年間と定められています。有給休暇の期限である2年間を過ぎてしまった場合は消化が難しいため、企業側で買取することが可能です。とはいえ、企業側は従業員からの買取してほしいと依頼されても拒否することは可能です。

退職時に有給休暇が残っている

退職時に有給休暇が残っていたり、日数の消化が間に合わない場合は従業員と協議のうえ同意を得ることで買取することが可能です。退職する従業員が未消化の日数分の付与を望んだ場合は、労働者としての権利があるため拒否することはできません。

退職時の有給休暇の買取で注意することは?

基本的には退職時であっても会社から一方的な買取は認められていません。ここでは、有給休暇の買取に関するトラブルや対策の事例について詳しく解説をしていきます。

本人が買取を希望する場合のみ認められる

有給休暇の買取は基本的に認められていないため、社員には「有給を消化して出勤しない」権利があります。しかし、会社側としては引継ぎや代替要員が確保できるまで助けてほしいというケースもあるので、その場合は無理をせず可能な範囲で協力してあげることをおすすめします。

 

有給を消化するのか買取を希望するのか、早い段階で会社に伝えてスケジュール調整をすることがトラブル防止に繋がります。会社側が買取を強要することは違法とされていることも、しっかりと覚えておきましょう

会社が買取を認めることも条件

本人が有給休暇の買取を希望したとしても会社が認めないと買取を行うことはできません

 

例えば、就業規則で定められた条件に該当しているのに買取を拒否されたり、就業規則に特段の定めはないものの労使慣習でこれまでの退職者は買取してもらえていたが自分だけが拒否されたという場合は不当な理由となってしまいます。

 

このようなケースは、買取をしてもらえるよう会社と交渉しましょう。それでも、会社が買取を認めてくれない場合は、労働基準監督署に相談をして会社を指導してもらうか、退職日までの有給消化に切り替えるという判断も一つの方法といえるでしょう。

有給休暇の買取金額

有給休暇を取得する場合は、その日に通常勤務をした賃金を支払うなど、有給休暇の買取金額に関するルールが定められています。しかし、買取自体は法律上の制度にはないので買取金額に関するルールはありません。

 

そのため買取金額は、「会社と本人との合意により決まる」こととなっています。通常勤務をした場合の賃金に準ずる額で買取するのが一般的ですが、会社が極端に低い金額でしか買取してくれないというトラブルも発生するケースがあります。

 

このような場合は、買取価格について会社と再交渉するか、難しい場合は買取してもらうことをあきらめて、退職日まで有給消化をする形に切り替えるほうが賢明といえるでしょう。

 

しかし、会社との買取交渉がまとまらないままに退職日が迫った場合は、「有給を安い金額で買取してもらうか、消化しないまま退職をするか」のどちらかになってしまうので、有給休暇の買取交渉は退職日から時間的な余裕のあるうちに開始しましょう。

退職時の有給休暇買取のメリット

退職時に有給休暇を買取する場合に、労働者側のメリットと企業側のメリットについて解説していきます。

労働者側のメリット

労働者側のメリットとしては、退職日の最後まで働く必要があるので業務の引継ぎを急がなくても良いところです。しかし、引継ぎ自体が少ない方にとってはメリットは少ないと言えます。会社側が買取に応じてくれない場合は、有給は最後まで消化した方が良いかもしれません。

企業側のメリット

企業側としては、労働者側に比べてもメリットは大きいといえます。従業員の退職が決定していても、有給休暇取得中は在職しているため、社会保険料を負担しなければなりません。残っている有給休暇を買取して退職を早めると在職する期間分の社会保険料の負担が免れます

 

買取価格は「平均賃金」「通常の賃金」「標準報酬月額」のいずれかです。どの価格を採用するかに関しては、あらかじめ就業規則で定めておかなければいけません。買取価格が低い場合は、買取した方がコストを削減できます

 

有給休暇取得中は、雇用関係が継続しているので従業員は労働者としての権利を有しています。そのため、従業員が退職の取り消しを求めるなどのトラブルが発生するリスクがあります。

退職時の有給休暇買取でトラブルにならないためには?

退職時の有給休暇買取では、どのようなトラブルが起こるのでしょうか。ここでは、トラブルにならないための方法について解説していきます。

日ごろから有給休暇を取得できる環境づくり

普段から有給休暇が取りやすい環境であれば、労働者は積極的に有給休暇を取得するはずです。有給休暇を適切に消化できれば、退職時にまとめて何十日も有給休暇を取る必要はなくなります。

 

2019年4月1日から年5日の有給休暇を取得させることが、働き方改革関連法の成立で義務となっています。労働者がどうしても有給休暇を取らない場合は、会社が時季を指定して休ませなければいけません。

退職時の引継ぎについての規則を設ける

就業規則に、退職時に業務の引継ぎ時について定めておけば、退職の申し出があった際に引継ぎを依頼しやすくなるでしょう

 

規定しているかといえ、有給休暇を消化できないとすることはできませんが、退職時期を延長してもらい引継ぎが終わり次第有給を取得してもらうなどすると、有給を買取するなどの相談をしやすくなるでしょう。

有給休暇取得のタイミングの規則を設ける

退職前に有給休暇を消化する場合は、最終出社日の前に取得するか後に取得するか確認する必要があります。どちらも可能ですが、事前にしっかりと決めておくことが大切です。

有給休暇の取得に関する過去の事例をチェック!

有給休暇の取得に関する過去の事例について解説をしていきます。どのようなトラブルがあったかを理解しておくことをおすすめします。

会社側に有給休暇取得を拒否するような発言があった場合は?

従業員が1日間の有給取得を上司に申請したところ、上司は同じ月の月末に3日間のリフレッシュ休暇を取得することを指し、「今月末にはリフレッシュ休暇を取る上に、6月6日まで有給をとるのでは心証が悪いが、取らないといけない理由があるのか」というメールを送信した。

 

翌日、口頭で「こんなに休んで仕事が回るなら、会社にとって必要ない人間じゃないのかと上は言うよ。その時、僕は否定しない」「そんなに仕事が足りないなら、仕事を上げるから6日に出社して仕事をしてくれ」と発言した。

 

この発言により、従業員は有給休暇の申請を取り下げました。このメール及び発言は、原告の有給休暇を取得する権利を侵害する行為であるとして違法と判断されました。

退職時の有給休暇買取に迷ったら社会保険労務士に相談!

この記事では、退職時に有給休暇の買取に関して紹介しました。さまざまなトラブルになる可能性があるため、もし退職時の有給休暇買取に迷うことがあれば社会保険労務士に相談することをおすすめします。

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