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売上計上基準とは?その種類や計上のタイミングなどを解説

売上計上基準についてみなさんはどれくらいの知識を持っているでしょうか、おおまかに説明すると、売上計上基準とは、いつ売上計上をするべきか、タイミングを決める基準のことをいいます。今回はその詳細や様々な種類、注意点についてご紹介します。是非参考にしてください。

公開日 : 2021/03/25

更新日 : 2021/05/27

目次

売上計上基準の事例

売上を会計に計上するタイミングは、会社や業種によってさまざまです。本記事では、売上計上基準について解説していきます。

売上計上基準を頻繁に変更することはできるの?

製造会社を経営しているAさんは、会社の売上計上のタイミングを変更したいと考えています。しかし、売上基準は頻繁に変更してよいのか分かりません。また、そのほかにも売上計上に関してさまざまな疑問を抱いているため、税理士などの専門家に相談した方がよいのかと悩んでいます。

一度決定したら継続して使用しなければならない

売上の計上基準にはさまざまな種類があります。どの種類の売上基準を採用にするにしろ、一度決定した基準は、継続して使用するのが会計上のルールです。そのため、売上基準の変更は、取引事情や販売方法、契約条件が変わった場合など、正当な理由がない限りは、認められていません

売上計上基準とは?大原則の2つを紹介

売上計上基準には、「実現主義」「継続適用」という2つの大原則があります。それぞれの原則について見ていきましょう。

実現主義

実現主義とは、売上が実現したときに計上するというルールです。売上が実現したときというのは、もっと詳しく言うと、「製品やサービスの引渡が済んだタイミング」です。

 

ちなみに、代金を受注した時に計上する方法を「現金主義」といいます。実現主義と比べると、現金主義での計上は、店頭販売時などを除いて、計上が遅いとされています。そのため、一般的に会計のルールでは、実現主義が採用されています。

継続適用

先にも触れた通り、売上計上基準は、一度採用したものを継続的に使用しなければなりません。一度決めた基準を変更できるのは、合理的な理由があるときだけです。たとえば、前期は出荷時に売上計上基準を設定していた会社があるとします。

 

この会社は、年末の出荷のときにのみ、未収基準を採用しようとしました。そうすれば、売上を翌期に繰り延べることができるからです。しかし、それは会計上のルールとして認められません。よって、この場合は、売上計上基準を変更することはできません。

商品・製品等を販売する場合の売上計上基準

商品や製品を販売する会社の売上基準は、商品や製品の種類、性質、販売の契約内容などによって、以下の4種類の中から売上基準を選択します。それぞれの基準について見ていきましょう。

出荷基準

「出荷基準」とは、商品・製品を店舗や倉庫から取引相手に出荷した時点で、引渡が完了したと見なす基準です。たとえば商品をトラックや船に積み込んだときや、取引先に搬入した時点などで適用されます。

 

出荷基準では、商品が相手元についたことを確認する前に適用されるという性質を持ちます。そのため、出荷したことを証明できるよう、出荷日などを記録しておく必要があります。

納品基準

「納品基準」とは、取引先に納品が完了した時点で売上を計上する基準です。納品したことを証明するために、納品書や受領書に、取引先から日付入りの受領印を押してもらう必要があります。

検収基準

「検収基準」とは、取引先が検収を終了した時点で売上計上する基準です。納品後に、製品や内容の修正が発生することが多い業種に、よく採用されています。たとえば製造業などでは、研修基準が用いられています。

検針基準

「検針基準」は、検針等により、販売数量を確認した時に売上を計上する基準です。たとえば電気、ガス・水道などの販売で使用されています。

請負契約の場合の計上基準

請負契約には、建設工事や運送業務、ITシステム構築などがあります。請負契約は、物の受け渡しの有無によって、売上計上基準が異なります。それでは、詳しく見ていきましょう。

物の引渡が必要な場合に採用される基準

物の受け渡しがある場合は、引渡時点の製品の完成度に応じて「完成引渡基準」と「部分完成基準」の2種に分かれます。

完成引渡基準

「完成引渡基準」は、目的物・製品のすべてを引渡をした時点で、売上を計上する基準です。建設工事等の具体的な引渡の日については、以下の基準によって決定されます。

 

・作業を結了した日

・先方の受入場所へ搬入した日

・相手方が検収を完了した日

 

もし引渡後に、補修・追加工事などがあったとしても、引渡日の判定には影響しません。

部分完成基準

法人が請負った建設工事などが、以下の2つのケースに該当する場合、建設物が完成していない場合でも、引渡をした部分については、年度内に売上を計上しなければなりません

 

・一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

 

・1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡をした都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

 

【前者の例】

・建設会社Aが30戸の建売住宅の建設を請け負い、年度内に15戸の住宅を完成させ、その分の代金を受け取りました。30戸すべての工事は終わっていないものの、この工事で発生する収益の一部を受け取ったため、売上として計上します。

 

【後者の例】

・建設会社Bが全長10kmのトンネル工事を請け負いました。少しずつ掘り進めて、3km分の工事が終わったため、完成部分の引渡をして売上を得ました。まだ6km分の工事が残っているものの、売上を得ているため、その分の売上計上を行います。

物の引渡が必要ないときの売上計上基準

物の引渡がない場合、売上計上基準は「役務完了基準」と「部分完了基準」の2種類に分かれます。それぞれについて解説します。

役務完了基準

役務完了基準とは、その役務の提供が完了したタイミングで売上計上する方法です。たとえば、建設・作業の指揮官や技術指導などが該当します。継続サービスなどの場合は、一定期間で区切って計上を行います。

部分完了基準

技術役務の提供に関して、以下の2つのケースに該当する場合は、支払の報酬額が確定した時点で売上計上を行います。

 

1.報酬の額が現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合

 

2.例えば基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されている場合のように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合

売上計上の決め方

売上計上の決め方は、業種や販売形態によって異なります。以下の4つの販売形態について、それぞれの形状の決め方を解説します。

委託販売の場合

委託販売形態とは、販売の代理を他社に依頼する販売形態を指します。たとえば、メーカーが小売業者に製品の販売を委託するケースなどがあります。この場合、売上高は、販売した小売店が、消費者に販売した日付で売上を計上します。

 

具体例を挙げてみましょう。A社はB社に、自社の製品aの販売を委託していると仮定します。ちなみにA社は4月が法人決算です。

 

・4月20日 B社が客Cに商品aを販売した

・5月10日 B社からA社へ清算書が送付された

・5月30日 B社からA社に販売代金が振り込まれた

 

この場合、売上を計上するのは、B社が客Cに商品を販売した「4月20日」です。A社は4月が法人決算であり、実際に代金が振り込まれたのは決算日を過ぎてからですが、売上基準は「4月20日」であるため、その期の売上として計上します。

試用販売の場合

使用販売とは、消費者が試しに商品を「お試し」してみて、購入するかどうかを決めるという販売方法です。つまり、客が商品を気に入ってくれれば、購入してくれる得意先を獲得していくことができます。

 

使用販売における売上計上は、消費者が買取の意思表示をしたタイミングです。「お試し」期間中は、まだ消費者の購入意思が確定していないため、売上とすることはできません。ちなみに、買い手の買取の意思表示が求められる基準のことを「買取意思表示基準」といいます。

 

具体例を挙げてみましょう。法人決算4月である会社Dが、得意先である客Eに試供品を送付したとします。

 

・4月20日 会社Dが得意先の客Eにお試し商品を送付した ・5月10日 客Eから買い取りの申し込みが行われた ・5月15日 客Eから会社Dに商品の代金が振り込まれた

 

商品の引渡が行われたのは、今期の4月中です。しかし、客Eから買取の意思表示が行われたのは翌期の5月10日であるため、売上計上は5月10日付で行います。

予約販売の場合

予約販売とは消費者から先に料金を受け取り、後日商品を受け渡す販売方法です。予約販売は、販売数が限られる時によく用いられています。予約販売では、商品を受け渡したときや、サービスを提供したときに売上が計上されます。

 

この時注意点として、登記の売上高に計上できるのは、決算日までに商品の引渡やサービスの提供が完了した分のみ、ということが挙げられます。引渡が終わっていない場合や、サービスが提供されていない場合、先に受け取った代金は、前受金などの勘定科目で負債として翌期に持ち越す必要があります。

 

先に代金を受け取っていたとしても、客からの申し込みがあった日や、代金を受け取った日で、売上高を計上することはできません。以下に、予約販売の売上計上の具体例を挙げてみましょう。法人決算が5月である会社Fは、客Gと客Hに自社の商品fを予約販売しました。

 

・5月20日 会社Fは客Gと客Hから商品fの予約販売の申し込み・代金の受け取りをした

・5月30日 会社Fから客Gに商品fを引渡をした

・6月1日 会社Fから客Hに商品fを引渡をした

 

この場合、当期の売上高に計上できるのは、5月中に引渡が完了した客Gからの商品代金のみです。

割賦販売の場合

割賦販売とは、商品を先に引渡をし、代金を分割で受け取る販売方法です。割符販売で売上計上するタイミングは、原則として、商品を受け渡した日です。割符販売の売上計上について、具体例を挙げてみます。6月法人決算である会社Iは、会社Jに商品iを割符販売しました。

 

・6月20日 会社Iが会社Jに商品iを、「毎月20日の3回払い」で割符販売した

・7月20日 会社Jから会社Iに1回目の支払いがあった

・8月20日 会社Jから会社Iに2回目の支払いがあった

・9月20日 会社Jから会社Iに3回目の支払いがあった

 

この場合は、6月20日に未収の代金をすべて当期の売上高として計上するのが原則です。

売上計上に関する注意点

売上計上を行う際には、主に2つの注意点があります。それぞれについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

売掛金の取り扱いに注意

売掛とは、サービス・商品を提供した際に、その場で支払いを済まさずに後日代金を支払うことです。簡単に言えば、料金の後払いです。売掛をうまく活用すると、売上の増加を見込める場合があります。

 

しかし、売掛の場合、取引先が倒産するなどのトラブルが発生すると、入金が行われず、自社の経営に大きなダメージが発生します。そのため、売掛の際には、常に支払いが期日通りに行われているかどうかを確認する必要があります。

売上計上の基準選びは慎重に行う

売上計上基準は、合理的な理由があれば、自社の都合などに応じて、どの基準を採用するか選ぶことができます。しかし、一度採用した基準は、「継続適用の原則」に基づき、原則として変更できません。そのため、売上基準の決定は慎重に行いましょう。

気を付けるポイント

売上計上の時期の決定は、税務面も考慮して行いましょう。もし適当に決めてしまうと、決算に不利に働く場合があります。具体的に、気を付けるべきポイントをご紹介します。

期ずれに注意しよう

「期ずれ」とは、経費や売上が異なる年度で計上されることです。売上の期ずれは、税務調査で厳しくチェックを受ける対象です。悪意がなかったとしても「期ずれ」が確認された場合は、追徴課税などのペナルティが課せられます。そのため、計上時期に誤りがないか、常に確認しておく必要があります。

売上計上基準は慎重に選ぼう

売上計上基準は一度決めると、それ以降の変更は原則としてできません。会社の利益や税務に大きな影響を持つものですので、どの基準を採用するかは、最初に慎重に決める必要があります。適切に売上計上基準を設定するためにも、ぜひ税理士に相談しましょう。

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