個人事業主に税務調査が来た場合の対策とは?調査に来る確率も紹介!
ドラマのシーンなどでよくある税務調査ですが、実は法人だけでなく個人事業主にも来る可能性があります。個人事業主のところへ来る確立は何%なのでしょうか?また、来ない場合もあるのでしょうか?そこで今回は個人事業主への税務調査の事前準備や対策について紹介していきます!
公開日 : 2021/01/12
更新日 : 2021/01/12
目次
個人事業主の税務調査対策の事例と回答とは?
ライターやコンサルタント、個人で店舗を経営している個人事業主のもとにも税務調査は来ます。個人事業主のもとに税務調査が来る確率は1.1%となっており100の個人事業主がいたらそのうちの1件に税務調査が来ることを意味しており、決して少ない数字とはいえません。
しかし実際に税務調査が行われた経験がある個人事業主や税務調査が来ても大丈夫だという絶対的な自信がある方は少ないのでしょう。そんな時は税理士に立ち会ってもらうことをおすすめします。以下では個人事業主の税務調査の具体的な例を紹介します!
個人事業主の税務調査対策の事例
Aさんは個人で美容系サロンを経営している個人事業主です。ある時税務署から電話があり2週間後に税務調査をさせて頂きたいとのことでした。日ごろから税務調査が来ても大丈夫なように準備をしていなかったので心配になったAさんは税理士に相談をしました。
このときAさんはどのように対策すればいいのでしょうか?また、税理士に相談したことによってどのような対策をしてくれるのでしょうか?以下ではAさんが税理士に相談した後の対策の様子を例として紹介していきます!
個人事業主の税務調査対策の事例に対する回答
税理士との第1回目の面談では確定申告書を確認して指摘されそうな問題点を探していきます。基本的に日ごろから準備していない場合はどこかに誤りがある可能性が非常に高くAさんも売上の計上方法に誤りがあったため修正申告書を作成し提出することにしました。
第2回の面談ではAさんに第1回で見つかった問題点を修復するために必要書類を集めてもらい、そこからさらに見つかった問題点や修正申告に必要な事項を確認していきます。第3回の面談までには修正申告書が出来上がっていたため税務調査で聞かれそうなことと模範解答を確認しました。
そして当日税務調査が行われどのように修正申告を行ったのか、どのように誤って計上してしまっていたのかなどを確認されましたが、予め回答を準備していたため事なきで終了しました。Aさんの場合は税理士に相談していなければ誤りを指摘され追徴課税を課せられていましたが、事前に税理士に相談したことによって課税とはなりませんでした。
このように税理士とともに税務調査の対策を行ったことによって追徴課税にならないという事例は多くあるようです。時には追徴課税はやむを得ない場合もありますが、その場合でも税理士に相談することで最低限で済むということも多いようです。
そもそも税務調査とは何?
税務調査という言葉を聞いたことはあっても、どういったものなのかは実際には分かっていないという方もいるかもしれません。まずは、税務調査について知っておきましょう。
税務調査について
我が国日本では、『申告課税方式』という納税者が納税額の計算をして納税をする方法が執られているため、きちんと正しい納税がされているかを国が調査を行う制度を、税務調査といいます。
法人だけでなく個人事業主も調査対象
税務調査というと、法人が行われるイメージを持っている人もいると思います。しかし、個人事業主やフリーランス、相続税を納めた個人、ネット取引をしている個人なども税務署の税務調査を受けることがあるのです。
個人事業主に税務調査が来る確率は1.1%
税務調査率の算出方法は『税務調査件数÷調査対象の法人・個人の数』となっていて、個人事業主への税務調査実施率は1.1%です。一方の法人の場合は、法人全体で税務調査が行われる確率は3.2%ほどとなっています。
この数値を見てみると、個人事業主に行われる税務調査の確率は、法人の1/3程度となっているでしょう。
税務調査はいつ来る?
税務調査はいつ行われるのかという点が、気になる方も多いことと思います。行われる時期を把握しておき、準備をしておくことも必要でしょう。では、税務調査はいつ来るのでしょうか。
税務調査が来ない場合もある
税務署から目に留まりやすいのは、目立つ人でしょう。よって、あまり目立たないことで対象になりにくくなります。確定申告書への記入でミスをしないこと、あるいは計算ミスを無くせば、目に留まりにくいでしょう。
ただ、正しく申告をしたとしても売り上げが極端に減った場合や、経費のみが増えているなどといった場合には、税務署から見て目立つ存在となる可能性があります。よって、売り上げがそこまで減っていない場合などには、税務調査も来ないことが考えられます。
任意調査と強制調査がある
税務調査には『任意調査』と『強制調査』の2種類があります。『任意調査』は、一般的に行われる税務調査のことであり、資本金が1億円未満の法人あるいは個人事業者に関しては、税務著の調査部門が担当をして、資本金が1億円を超える法人は国税局調査部が担当をします。
『強制調査』は通称・マルサと呼ばれる『国税局査察部』が、脱税金額が大きく悪質性の高い納税者を相手として、調査が行われるものです。最後には検察庁への告発が目的となっています。
基本は事前連絡と事前調査がある
税務調査には、事前連絡と事前調査というものがあります。税務調査が行われるとしたら、その10日ほど前に企業とその企業の顧問税理士に電話で前もって連絡が来るのが原則です。これが事前連絡です。
その電話で税務調査が行われる日程を決めることになりますが、その時にはなるべく税務調査に関する対応が可能である期間を設定するのがポイントでしょう。また、税務署では納税者に連絡をする前に、事前調査を行っています。
過去5年分となる申告書を見直すことと、過去5年分の申告状況がどの様に推移しているかを検討しているのです。例えば、売り上げや仕入れなどと言った数値を、過去と比べて異常ではないか調べます。
税務調査の対象になりやすい個人や会社とは?
税務調査はできるなら受けたくないものですが、どういった個人事業者や会社だと税務調査の対象となりやすいのでしょうか。続いては、税務調査の対象になりやすい個人事業者や会社について見ていきたいと思います。
税務調査の対象になりやすい個人事業主
事業所得を得ている個人の、1件での申告漏れ所得の金額が最も多いのは、風俗業の方です。風俗業者の1件での申告が漏れている所得額は、2,080万円となっています。続いてはキャバレーであり、申告漏れの所得額は1,667万円、次はプログラマーで1,178万円の申告漏れをしていることが分かります。
また、1,150万円の申告漏れをしている畜産農業や、1,109万円の防水工事業も税務調査の対象となりやすい個人事業者に該当します。
無申告の会社や個人事業主
無申告の場合もいけません。税務署が法人の税務調査をするとしたら、該当する法人の支払先に当たるフリーランスあるいは個人事業者の名前や住所、銀行口座などといった情報をいつでも入手し、蓄えているものです。
入金額が大きくなるフリーランスの方などは、『年度別入金金額』が把握されていると考えられるでしょう。税務申告自体をしていない場合や、売り上げを実際よりも少なく申告したりすると、税務署に見つかるのは必須です。
よって、申告は適正に行わなければいけません。
現金商売を行っている会社や個人事業主
現金商売をしている場合にも、税務調査の対象となりやすいです。税務調査においては、決算書と一緒に銀行取引推移も調査されるため、銀行口座に入金された売上代金を決算に含めなかったとしても知られてしまうでしょう。
しかし、現金商売には第三者である銀行が作成した通帳とは違い、"現金出納帳"あるいはレジのデータからは敢えて売り上げが外されるなどの傾向がみられるため、税務署側も何かあるかもしれないと睨み、調査に対する意欲を増すのです。
風俗業等や飲食店などに加えて、美容室およびサロンなども現金商売に数えられますが、税務調査を受けてみると不正や申告漏れの発覚が多くあります。
売上が消費税法上の基準である1000万円ギリギリは怪しまれる
消費税法としての課税業者とは、年間の売り上げが1,000万円以上であることが基準です。要するに、売り上げ額が1,000万円を下回る場合には、顧客もしくは取引相手より消費税を徴収したとしても納付する義務はないでしょう。
ところが売り上げが1,100万円になった場合には、課税仕入れが400万円であり課税の経費が100万円だとしたら、600万円×10%(2020年現在)で計算すると60万円の消費税を納付しなければいけなくなります。
こうした消費税を逃れるために、売り上げの一部を隠蔽して900万円台と少なく見せかける事業者もあるため、1,000万円未満であれば脱税をしているのではないかと税務署に怪しまれてしまうのです。
税務調査の際の対策や事前準備とは?
税務調査が入ると分かった場合には、緊張感が走るかもしれません。では、もし税務調査が行われることになった場合には、どの様に対処をするべきでありどういった準備をしておくことが必要なのでしょうか。
落ち着いて対応する
税務調査が行われるとなると、疑われているような気もする方もいるかもしれません。とはいえ、税務調査は疑いがあるから行われるというわけではないのです。正確に納税を行っている方であっても税務調査が行われる可能性はあります。
税務署から連絡が来ただけで居留守を使ってしまうことや、電話がきても折り返さないなど不誠実な対応はいけません。もし誠実ではない対応をしてしまうと、何かやましいことがあるのかもしれないと思われてしまうこともあるでしょう。
税務調査が行われる際には、落ち着いて対処することが大事です。
領収書を整理しておく
領収書などの帳簿書類は、7年間保存しておく必要があります。一部の書類は5年でも問題はないとされているものの、有耶無耶になりがちのため画一化して7年間保存しておくことが得策です。『電子帳簿保存法』により、帳簿をデータ化して保存しておけることになっています。
しかしそうなると、税務署に書類を提出しなければいけなくなるでしょう。よって紙媒体として領収書を整理して保存しておくことが大事です。
顧問税理士がいる場合は相談する
もし顧問税理士がいるなら、税務調査が行われる前に相談をしておくようにしてください。税務調査では、税理士が立ち会うことが可能となっています。税務調査が行われるという連絡が来たなら、担当者の名前を聞きすぐに税理士に連絡をするのが賢明です。
顧問税理士がいない場合であっても、税理士に税務調査のみ依頼することもできるでしょう。税理士に相談をすれば、用意しておくべき書類あるいは調査当日の対応について、細かなアドバイスをしてもらえる可能性があります。
事前準備には時間が限りがあることから、全ての対策は不可能かもしれませんが、指摘される可能性のある問題があるとしたら、前もって集中して対策することもできるのです。税理士が立ち会うかどうかが結果を左右することもあるので、なるべく税理士に相談してください。
税務調査対策のチェックリストを作成しておく
税務調査を受ける前には、チェックリストを作成しておくことがおすすめです。例えば事業の概況等では会社の概況や取引状況について正しく説明ができるか、法人名義である預金通帳などは会社に保管してあるかなどが挙げられます。
また調査当日にパソコンを調査されても問題ないかという点もチェックポイントです。売り上げや雑収入等では、売り上げが納品書及び請求書(控)、領収書(控)などから適正に計上されているか、受注から売り上げの計上までどういった流れになっているのか説明できるかなども大事です。
それに売り上げの計上基準が明らかになっているのかもチェックすべき点でしょう。仕入れや外注関係では、仕入れや外注費用に関係する証票類が、調査官に提示できる状態になっているのかも、チェックリストに入ります。
税務調査当日は何をするの?
税務調査の日になったらどういったことが行われるのか、
税務調査で用いる主な必要書類について
税務調査は平均2日程度で終了する
過去にあった個人事業主の税務調査の事例
個人事業を営むBさんから税理士のもとに税務調査のサポートの依頼がありました。話を聞くとBさんは領収書や売上の請求書の控えもほとんど残っておらず、確定申告書の収支内訳書の数字も適当に書いてしまっていたという絶望的な状況でした。
さらに話を聞くとBさんは自分が行っていた申告は間違っていることに気づいており非常に反省していました。またそれに伴って税務調査に非常におびえていました。税理士との面談で重加算税を課せられることは仕方がないことだとしたうえでなるべく少ない額の課税で留まるように修正しました。
税務調査当日はBさんと税務署の方の間に税理士が仲介することでなるべく穏便に話が進みました。結局追徴課税は1000万円を超えましたが、このまま数年間同じように申告をしていたら逮捕されていてもおかしくないとのことでした。
Bさんは毎年確定申告のたびに間違っていることに気づきながらも申告をしてしまっていたことに罪悪感と税務調査への恐怖が募っていたのが実際税務調査が来たことで気持ちが楽になったと話しているようです。