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税理士と社労士の違いとは?業務内容の違いやダブルライセンスも解説

税理士と社労士のどちらに依頼したらいいか悩まれる方は多いのではいでしょうか。社労士と税理士はどちらも会社にとって重要な存在ですが、税理士と社労士の違いについて理解するのは難しいですよね。ここでは税理士と社労士の違いやダブルライセンスについても詳しく解説します。

公開日 : 2021/01/28

更新日 : 2021/01/28

目次

税理士?社労士?よくあるお悩みをご紹介!

会社を経営していく中で、専門家に相談したいと感じる場面は多いですよね。しかし、どの専門家に相談すべきかについて判断するのは難しく、悩まれますよね。ここでは、よくある事例を用いて、税理士や社労士など、どの専門家に相談すべきなのかについて解説します。

税務や人事・労務管理について相談したいAさん

Aさんは確定申告書の作成や税務官公署への申告・申請・届け出、助成金の申請について専門家に依頼しようと考えてます。しかし、これまで専門家に相談したことがないため、誰に相談したら良いのか分からず、悩んでいます。

 

さて、Aさんの相談内容は確定申告書の作成や税務官公署への申告・申請・届け出、助成金の申請についてですが、この場合どの専門家に相談すべきなのでしょうか?

Aさんが相談すべき専門家とは?

さて、Aさんの場合はどの専門家に相談すべきなのでしょうか。Aさんと同じような疑問を抱いている方は多いですよね。ここで回答を確認して、お悩みを解決しましょう!

税理士と社労士に相談

Aさんの場合、税理士と社労士に相談するのが最適です。

 

確定申告書の作成や税務官公署への申告・申請・届け出、助成金の申請については税理士に相談する必要があり、助成金の申請については社労士に相談する必要があります。税理士と社労士にはそれぞれ独占業務があります。そのため、税理士と社労士どちらにも相談する、もしくはどちらの業務もすることができるダブルライセンスを持つ先生に依頼する必要があります。

 

 

社労士とは?

社労士という存在は知っているけれど、実際にどのような業務を行っているのかについて知っている方は少ないのではないでしょうか。ここでは、社労士の業務内容や社労士資格の難易度についても詳しく解説していきます。

社労士は人事労務管理の専門家

社労士は人事労務管理の専門家といわれ、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。全国社会保険労務士会連合会ホームページでは、社労士を以下のように説明しています。

 

『企業の成長には、お金、モノ、人材が必要とされておりますが、社労士はその中でも人材に関する専門家であり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行っております。

社労士は、企業における採用から退職までの「労働・社会保険に関する諸問題」「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。』

 

このように社労士は労務や社会保険、人事のプロで、社労士がいることで、企業は難しい書類申請やトラブル、悩みについて適正なアドバイスを受けることができます。

社労士の仕事内容

社労士の主な業務は、以下の3つです。

 

  1. 社会保険や、労働保険の法律に基づく申請、届け出書の書類作成、手続きの代行業務
  2. 労働法、社会保険法に基づいた就業規則、雇用契約書、労働者名簿、賃金台帳などの帳簿書類作成、手続き代行業務
  3. 人事や労務・労働管理関係の相談指導業務

 

1の業務の具体的内容としては、労働基準監督署や公共職業安定所、年金事務所などに申請するための保険料の計算や手続き代行社会保険料の計算や届け出その他雇用保険や年金の手続き助成金申請などがあります。

 

また、これらの業務以外にも、紛争解決手続代理業務、労働社会保険や労働関係紛争に関わる訴訟で弁護士と共に出頭、陳述する補佐人としての業務もあります。

社労士資格の難易度

平成30年の社労士試験受験者数は38,427人、合格者数は 2,413人で、合格率は 6.3%と低く難易度が高い資格です。しかし、税理士資格と比較すると、社労士資格の方が取りやすいと考えられています。

 

社労士の場合は合格に必要な勉強時間が1~3年なのに対し、税理士は5年以上かかることも珍しくありません。また、社労士試験はマークシート形式で出題されますが、税理士試験は論文形式での出題です。このことから、税理士試験の方が難しいと言われています。

税理士とは?

税理士は決算などの手続きを代行してくれる専門家、というイメージが強いかもしれませんが、税理士に依頼することができる業務はそれだけではありません。ここでは、税理士の業務内容や税理士資格の難易度など、税理士について詳しく解説します。

税理士は税務の専門家

税理士は税務の専門家で、国税庁のホームページでは、以下のように税理士と税理士制度について説明しています。

 

『税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。

税理士制度は、このような公共的使命を負っている税理士が納税義務者の援助をすることによって、納税義務を適正に実現し、これによって、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に資することを目的として設けられたものです。

税理士は税金の専門家として職務上知り得た秘密を守り(守秘義務)、相談者との信頼関係を揺るがすことなく、時代に適合した透明な税務行政がなされるよう活動しています。』

 

税理士は、納税に対する各手続きの代行などの業務以外にも、税務に関する相談も受け付けてくれるため、企業にとって非常に頼れる存在となっています。

 

税理士の仕事内容

税理士の主な業務内容は、以下の3つです。

 

  1. 税務業務(税務代理業務、税務書類の作成、税務相談)
  2. 会計業務
  3. 補佐人としての業務

 

税務業務では、税務官公署に対して税法に基づいた税務申告・申請・請求をしたり、税務調査立会などを行う税務代理業務、確定申告などの税金に関わる申告・申請・請求などの書類作成を代理で行う税務書類の作成、租税の課税標準等の計算についての相談に対してアドバイスをする税務相談などの業務があります。

 

会計業務では、決算書類や財務書類の作成や会計帳簿の記帳代行などの業務を行います。税理士が企業の代わりに会計業務を行うメリットとして、税務の専門知識が必要な消費税などの申告がスムーズに行うことができるということがあります。

 

税理士の業務として、補佐人としての業務があり、税理士は法定陳述権という権利を持っています。そのため、税務訴訟(もしくは租税争訟)という裁判になった際に、税理士は企業の補佐人として弁護士と共に法廷で陳述することができます。

税理士資格の難易度

平成30年度の税理士試験受験者数は30,850人(延べ42,063人)、合格者数は4,716人(一部科目合格者数:4,044人)で、合格率は15.3%となっています。数字だけ見ると、税理士の方が社労士より合格率は高くなっていますが、難易度は税理士の方が高いと言われています。

 

税理士は5科目の試験それぞれに1年近くの勉強時間を費やすのが普通であり、1年に1科目ずつ受験することもできるため、社労士のように1回の試験で全科目合格ということはほとんどありません。そのため、合格に必要な勉強時間も異なります。このことから、税理士の方が明らかに難易度が高いと考えられています。

税理士と社労士の業務内容の違いとは?

ここまで税理士と社労士について解説してきましたが、税理士と社労士の業務内容は似ている部分があるのでは?と感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、税理士と社労士の業務内容の違いについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

税理士の独占業務

税理士の独占業務として以下の3つが税理士法で定められています。

 

  1. 税務代理業務(税務官公署への申告・申請・届け出など)
  2. 税務書類の作成(確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書などの作成代行)
  3. 税務相談(税額の計算、節税対策や税効果会計など税務全般の相談に応じる)

 

また、税理士の業務にはこれらの独占業務以外に、会計業務、補佐人としての業務があります。

 

社労士の独占業務

社労士の独占業務は、社会保険労務士法で以下の2つが定められています。

 

  1. 労働社会保険諸法令に基づく申請書類作成・手続代行
  2. 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

 

申請書類作成・手続代行の主な業務としては、労働保険(労災保険・雇用保険)の申告社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)の算定基礎届月額変更届、助成金などの申請があります。

 

帳簿書類の作成の主な業務は、労働者名簿の作成賃金台帳の作成就業規則の作成・変更などです。

税理士と社労士の業務は重なる部分も

上記で述べた、税理士と社労士の独占業務について、税理士と社労士の業務の棲み分けに関する覚書「税理士又は税理士法人が行う付随業務の範囲に関する確認書」というものが存在します。

 

そのため、税理士は税理士事務所で社労士業務は行えず社労士は年末調整業務などの税務に関することを行うことができないというように決められています。しかし、独占業務ではなく税理士と社労士の職種が重なり合う、いわゆるグレーゾーンも存在しています。

 

例を挙げると、会計業務の一つである賃金台帳作成があります。賃金台帳作成は、社労士の独占業務となっています。しかし、賃金計算を自社で行っている企業も多く、その事務についてのアドバイスや、社労士が作成した賃金台帳による賃金会計などの事務代理については税理士が行うことが可能なのです。

 

独占業務を他の専門家が行う場合は、基本的に料金を取ることはできません。社員数の少ない零細・中小企業では手間もあまりかからないために、賃金計算や労働保険・社会保険の手続きに関して、顧問の税理士がサービスのような形で行っているケースもあります。

社労士と税理士のダブルライセンスのメリットとは?

税理士と社労士のダブルライセンスとは、税理士と社労士どちらの資格も取得することです。税理士と社労士はどちらも難易度が高い資格で、ダブルライセンスを取得することは非常に難しいですが、企業側にとっても資格取得者にとっても大きなメリットがあります。ここでは、税理士と社労士のダブルライセンスにはどんなメリットがあるのか、確認してみましょう。

ワンストップ化を実現できる

ダブルライセンスがあれば相談者の依頼についてより広く対応できるようになるため、企業が抱えている問題をまとめて解決できるというメリットがあります。

 

例えば、税理士が顧客から労働問題や社会保険・労働保険の相談を受けた際に、その税理士がダブルライセンスで社労士の資格も持っている場合には、その場ですぐに対応することができます。

 

企業にとっても税理士に相談した後に改めて社労士に同じことを相談する必要がなくなり、会社にとって重要である税務や会計、人事・労務問題、社会保険や労働保険の相談、給与計算の確認などのワンストップ化を実現することができます。

 

さらに、税理士と社労士両方の資格を持つ人を雇うことで、別々で契約をする必要がなくなり、費用を抑えることもできます

 

 

 

知識が広がりサービスの質が上がる

ダブルライセンスのメリットとして、知識の幅が広がることでサービスの質向上につながるということがあります。他の分野の知識を得ることで、より多角的に物事を捉えることができるようになります。

 

税理士と社労士という関連性のある他分野の知識を身につけることで、企業の課題に対し、より深く判断することができるなど、提供するサービスの質も向上するはずです。実際に社労士と税理士のダブルライセンスを持っている方は多くいます。

ダブルライセンスにはデメリットもある

税理士と社労士のダブルライセンスのメリットについて説明してきましたが、デメリットも2点存在します。

 

1点目は、専門性が落ちてしまうということです。社労士や税理士は非常に難易度の高い資格で、どちらも広い範囲における専門的な知識を身につける必要があります。そのため、どちらも完璧にこなすというのは非常に難しいです。

 

2点目は、業務の量がキャパシティーを超えてしまう可能性があるということです。ダブルライセンスとなると、依頼も増え、税理士と社労士どちらの業務も行う必要があるため、仕事をこなすのに時間がかかってしまう可能性があります。

給与計算代行を依頼するのは税理士?社労士?

税理士と社労士の業務が重なり合うとされているのが、給与計算です。給与計算には、源泉所得税をはじめとする税金と、社会保険の計算が混在しているため、注意が必要です。ここでは、給与計算代行を依頼するのは税理士と社労士どちらが良いのかについて詳しく解説しますので、依頼を考えている方は是非参考になさってください。

給与計算に関わる税理士と社労士の業務

給与計算に関わる業務としては、「毎月の給与計算の代行」「算定基礎届の提出」「労働保険の申告」「月額変更届の提出」「年末調整」があります。

 

これらの業務を税理士の独占業務と社労士の独占業務に分けると以下のようになります。

  • 税理士の独占業務:年末調整
  • 社労士の独占業務:算定基礎届の提出、労働保険の申告、月額変更届の提出
  • 税理士と社労士どちらも可能な業務:毎月の給与計算の代行

 

年末調整の事務は社労士が行うと違法になることも

年末調整に必要な「源泉徴収票」などの作成は税理士の業務となっており、社労士が行うことはできませんので注意が必要です。ただ、年末調整の際に必要な給与額や社会保険料の算定などの業務は社労士が行っても問題ないということになっています。

 

年末調整がどちらの業務なのかについては、以前争われたことがあり、社労士が年末調整を担っていた時期もありました。しかし、2016年に日本税理士会連合会と全国社会保険労務士会連合会の間で、「年末調整に関する事務は、税理士法第2条第1項に規定する業務に該当し、社会保険労務士が当該業務を行うことは税理士法第52条(税理士業務の制限)に違反する」という合意が図られました。

ワンストップ対応の事務所も

中には、給与計算代行を依頼するなら、一気通貫で依頼したいと考える会社は多いのではないでしょうか。その場合には、ワンストップ対応の事務所に依頼することがおすすめです。
 
 
税理士と社労士のダブルライセンスを持つ専門家に依頼をするか、税理士事務所と社労士事務所が連携している、もしくはグループを作っている事務所に依頼するという方法がありますので、事前に確認してみると良いでしょう。

税理士と社労士のダブルライセンス成功事例

ここまで社労士と税理士について解説してきましたが、実際に税理士と社会保険労務士のダブルライセンス事務所に相談をしたことで会社の課題を解決することができたケースは数多く存在します。ここでは、その中から税理士と社会保険労務士のダブルライセンス事務所が行った過去の成功事例を2つご紹介します。

新たな「設備投資と採用の助成金」がもらえた事例

M訪問介護事業所を経営するK社長は、税理士事務所と社労士事務所が連携しているB事務所と税理士と社会保険労務士の両方について顧問契約しています。B事務所が作成したM訪問介護事業所の試算表について打ち合わせをるするためにK社長はB事務所にやってきました。

 

また、K社長は今後、新事業所N訪問介護事業所のオープンをしたいと考えています。そのため、今回の打ち合わせでB事務所と一緒にN訪問介護事業所オープンの可否を決断したいと考えていました。

 

K社長は設備投資にかかる資金が予想以上に大きくなりそうなため、資金面がネックになっているという悩みを抱えていました。しかし、B事務所と打ち合わせをしていく中で、設備投資に関する助成金と採用に関する助成金を受けることができるとアドバイスをいただき、N訪問介護事業所は助成金を活用しながら、無事オープンすることができました。

 

新たな事業展開の判断は会社の数字を把握した税理士と一緒に行うことが理想なのですが、設備投資に関する助成金の情報は社会保険労務士しか把握していません。そのため、税理士と社会保険労務士のダブルライセンス事務所だからこそ、このタイミングでの助成金提案が可能だったのです。

経営危機を乗り越えることができた事例

機械運搬据え付け業を経営するS社長は、税理士と社会保険労務士の両方をB税理士・社会保険労務士事務所と顧問契約しています。S社長はB事務所と毎月の試算表(=会社の業績を集計した表)の打合せのためにB事務所にやってきました。

 

S社長は、一番の得意先であるB社からの注文が最近かなり減ったことで、社員も仕事がなく社内で待機している状況になってしまい、しかし給与は支給しないといけないため困っていました。今後資金繰りが厳しくなりそうなため、新たに追加借り入れした方が良いかB事務所に相談しました。

 

そこでB事務所は、新たに追加借り入れをするのは最終手段にすべきであるということを説明し、会社の売上が減少して社員を休まさないといけない場合に受けることができる助成金を申請することを提案しました。

 

売上が減り、社員が会社で待機している状態で経営資金がショートしそうになっていたS社長の会社ですが、「税理士として経営の状況 」と「社会保険労務士として助成金の情報」を熟知していたB事務所の「経営の維持を最優先した返済不要の助成金」の提案により、追加借り入れすることなく会社を再生することができました。

税理士と社労士の違いを理解して依頼しよう!

いかがだったでしょうか。本記事では、税理士と社労士について詳しく解説しました。それぞれ独占業務がありますので、税理士や社労士に依頼をする際にはどちらに依頼するのが適切か本記事を参考に確認してみてくださいね。

 

また、当サイトでは、年末調整や節税対策、経営について相談できる税理士を探すことができますので、お探しの方はご利用ください。

 

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