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日本の法人税率の推移は上がってる?下がってる?海外と比較した結果

日本の法人税率の推移は上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。結論としては日本の法人税率は下降傾向にあります。本記事では日本の法人税率がなぜ下降傾向で推移しているのかを徹底解説。世界水準に合わせた法人税率の実現についても解説します。

公開日 : 2021/02/10

更新日 : 2021/02/10

目次

法人税率は年々減少傾向にある

法人税率は年々減少傾向にあります。果たしてどのような背景のもと、税率が下がっているのでしょうか。法人税率が引き下げられている理由などを紹介していますので、ご確認ください。

法人税率の減少推移

平成元年の法人税の基本税率は40%で、中小法人の軽減税率は29%でした。

現時点では、基本税率は23.2%となっています。中小法人については、課税所得について、年間800万円以上の部分については23.2%、年800万円以下の所得については15.0%の税率がそれぞれかかります。

法人税率が引き下げられている理由は?

日本は、法人課税の負担をより広く分かち合う構造へと改革が進められており、税負担を軽減することで、企業に対して、収益力拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促しています。

 

つまり、法人税率を下げて若い企業が稼ぐ力をつけていくことで結果的に法人税によって集まる金額が上がるという理由から、法人税率の引き下げが進められているのです。

まだまだ高い日本の法人税

税体系は国によって違うので、国際間で比較をする場合は法人税だけでなく、法人の実質的な所得税負担率である実効税率で比較する必要があります。日本の実効税率は、税制改正前の2014年度の34.62%から、2015年度32.11%、2016年度29.97%、2017年度29.74%と低下しました。

 

政府が目標としていた20%台を実現しましたが、それでもやっと世界水準に追いついた程度で、世界的に見たら、まだまだ法人税率は高い方であるのが現状です。

世界の法人税と比べて日本の法人税率は高い?

世界の法人税と比べて、日本の法人税率は依然として高いままです。この見出しでは、日本と世界の法人税率を比べていきますので、ご確認ください。

「23.2%」という法人税率は世界と比べて高い?安い?

日本の2020年の法定実効税率は、29.74%となっています。日本より法人税が高いOECD加盟国として、フランス(32.02%)やポルトガル(31.50%)、オーストラリア(30.00%)や、メキシコ(30.00%)、ドイツ(29.90%)があります。

 

上述のように、日本の法人税率はOECD加盟国の中では6番目に高い値となっています。OECDの平均値が23.5%であることからも、日本の法人税率が高い値であることが分かります。

法人税率が高い国TOP5

OECD加盟国以外の法人税はどうなっているのでしょうか。「法人税率が高い国ランキング」から見てみると、

 

  • 1位がアラブ首長国連邦で55%
  • 2位がコモロで50%
  • 3位がプエルトリコで39%
  • 4位がスリナムで36%
  • 5位の国が11か国あり、チャド、コンゴ、赤道ギニア、ギニア、インド、キリバス、マルタ、サンマルタン島、スーダン、ザンビア、シントマールテンで35%となっています。

 

普通の生活を送っている日本人にはあまり馴染みのない国名が多いかもしれませんが、主要国トップのフランスを抜いて、中東やアフリカ、北米地域といったエリアの国々がランキングしていることに注目してみましょう。

法人税率が低い国TOP5

ここでは法人税率が低い国を紹介していきます。いわゆるタックスヘイブンです。

 

  • 1位がキプロス、アイルランド、リヒテンシュタインで12.5%
  • 4位がマカオ、モルドバで12%
  • 6位がアンドラ、ボスニアへルツェコビナ、ブルガリア、ジブラルタル、キルギス、北マケドニア、ナウル、パラグアイ、カタール、東ティモール、コソボで10%となっています。

 

これらの国々は、有力な産業が育ちにくいため、法人税率を下げることで、世界各国の企業を誘致しています。これを「タックスヘイブン政策」といいます。

タックスヘイブンの国

課税が免除されたり、大幅に軽減されている国や地域のことを、タックスヘイブンと呼びます。

これらの国や地域は、どのような目的で税率をきわめて低く設定しているのでしょうか。

タックスヘイブンとは

タックスヘイブンとは、税金(Tax)を回避する(Haven)する国、地域という意味で、「租税回避地」とも訳されます。

 

タックスヘイブンの例として、バージン諸島やバハマといった島嶼国や、スイス、ルクセンブルクがあげられます。これらの国々では有力な産業が育ちにくいため、税金を下げることによって企業を自国に誘致しています

 

 

タックスヘイブンの国々

タックスヘイブンの国には以下の国々があります。いずれにしても大国は含まれず、島国や国の一部だけという場合が多いようです。

  • イギリス領のバージン諸島、ケイマン諸島、ジャージー島
  • オランダ
  • ルクセンブルク
  • アメリカのデラウェア州
  • パナマ
  • コスタリカ
  • スイス

 

これらの国々は、税制上の優遇措置を設けることで、多くの資金を集めています。

タックスヘイブンのメリット

世界のあちらこちらに存在するタックスヘイブンですが、上手に活用すると以下のようなメリットがあります。順に紹介していきますので、ご確認ください。

 

(1)スピーディーな事業展開:会社で新たな事業を立ち上げる際は、スピードが重視されます。タックスヘイブンで事業展開することで、事業設立や銀行口座の開設などがよりスピーディーに進めることが可能です。

 

(2)二重課税を回避できる:日本に本店のある企業であれば、日本国外で稼いだ収益にも日本の法人税が課せられます。また、海外の支店で稼いだ所得にはその国の法人税と日本の法人税が二重にかかってしまいます。ですが、税額が極めて低いタックスヘイブン地域では、その心配は不要です。

 

二重課税を防止するために外国税額控除という制度や租税条約が整備されていますが、条約を結んでいない国で事業を展開している場合、依然として二重課税のリスクが残ります。

 

現行制度では回避できないこういった二重課税を回避するための方法は、そもそも税金がかからないもしくは税率の極めて低いタックスヘイブンで事業を展開することでしょう。

タックスヘイブンのデメリット

タックスヘイブンのデメリットとして以下のような点が挙げられます。

 

  • お金の流れを把握するのが難しく脱税につながる

  • マネーロンダリング(資金洗浄)に使われる

 

マネーロンダリングとは、薬物取引や贓物取引、脱税などのよって得られた資金の出所を消すことで、正当な手段で得られた資金だと見せかける行為です。これによって、捜査機関による摘発や差押から逃れることができます。

法人税率が下がるメリット

法人税率が下がることによってどのようなメリットがあるのでしょうか?法人税の計算方式を紹介しながら解説していきますので、是非参考にされてみてください。

法人税の計算式

法人税は、「課税所得×法人税率」で算出されます。

法人税の税率は、会社の規模やその年の所得金額によって異なります。中小企業の税率は次のように定められていますので、ご確認ください。

 

所得金額 平成31年4月1日以後

開始事業年度

800万円以下の部分

15%(注)

800万円超の部分 23.2%

(注)適用除外事業者は19%。

※適用除外事業者:その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等。

 

上記の表のように、800万円を超えるか超えないかで法人税が変わるということを留意しておくと会社を経営していく上でもスムーズにいくでしょう。

企業の資金増加

法人税率が減少すれば、当然企業の税引後益も増加します。その分の資金を、企業は新規事業や技術開発に回すことができます。これらは、新たな製品やサービスの開発、企業の成長に繋がると考えられます。

 

 

労働賃金の増加

法人税率が下がることで得られた資金は、人への投資に用いることもできます。賃金増加に加え、人材育成や人材開発の資金にあてることも可能なので、より質の高い労働者が増えることにつながると考えられます。

法人税が下がることの問題点

一方で法人税が下がることによって、発生する問題もいくつかあります。メリットだけを把握するのではなく、デメリットや問題点を知っておくと、より良い対策ができるので、この見出しを熟知することをおすすめします。

税収が下がる

当然、法人税率が下げられることで、国の税収は下がります。したがって、このための代替財源の確保が問題となってきます。他のどの場所から資金を調達してくるかを考えなければ、国内経済の成長にはつながらないでしょう。

海外企業の参入

法人税率を下げることで、今までより多くの外国企業が日本に進出してくると考えられます。もちろんこれについてはメリットもありますが、現在日本人が行っている仕事が外国の人たちに取って代わられるというデメリットも考えられます。

法人税率の推移について理解を深め日本の未来を考えよう

いかがでしたでしょうか。日本は法人税率が低いのではないかと問題視されていますが、実際のところ、世界的に見たら高い方なのです。またメリットやデメリットを見てきましたが、社会の変容をよく見ておく必要がありそうですね。

 

税金のことでお困りであれば税理士に相談するのが一番の得策でしょう。皆さんも一人で悩まず、プロに相談して見てはいかがでしょうか?

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