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支払調書の提出義務を過ぎたら罰則は? 書き方や必要書類も解説

外注した業務に報酬を支払った場合、時として支払調書を書かなければいけません。必要な事例や書き方・締切、提出の際に必要な書類までまとめてご説明します。また、間違えやすい他の調書との違いや、支払調書を受け取った場合の手続きについても合わせて解説していきます。

公開日 : 2021/02/09

更新日 : 2021/02/09

目次

支払調書には提出義務がある

仕事などを社外に依頼すると、その分の報酬を支払います。この時、支払調書を作成して仕事を依頼した人に提出しなければならないケースがあります。

そもそも、支払調書とはどういう書類なのでしょうか?そして、どのような場合に支払調書を提出しなければならないのでしょう。提出先なども含めて解説します。

原則「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を指す

支払調書とは、税務署への提出義務がある法定書類のうちの一つです。一口に「支払調書」と言っても、具体的には以下の4種類が存在します。

 

  • 報酬、料金、契約金及び賞金に関する支払調書
  • 不動産の使用料などに関する支払調書
  • 不動産を譲り受けた際の対価に関する支払調書
  • 不動産等の売買や貸付けのあっせんをした際に発生する手数料に関する支払調書

 

上記のうち、最も多いのが「報酬、料金、契約金及び賞金に関する支払調書」です。これはフリーランスに仕事を依頼して報酬を支払った際に作成する支払調書です。

支払調書を提出しなければならない事例

支払調書の提出には範囲が決まっており、その範囲に関係しているのが「支払先」と「一年間の支払金額」です。

 

支払先 一年間の支払金額
弁護士や税理士などの特定資格保有者 年額50,000円
原稿料や講演料やデザイン料
(フリーランス業務を含む)
年額50,000円
スポーツ選手(報酬・契約金) 年額50,000円
芸能人や芸能関係者 年額50,000円

 

上記の一覧表はごく一部です。この中で、支払調書を提出しなければならない事例が最も多いのは、「原稿料や講演料やデザイン料」でしょう。

「源泉徴収義務者」には支払調書の提出義務がある

支払調書は、源泉徴収義務者なら作成・提出の義務が生じます。「源泉徴収義務者」とは、人を雇って業務を行っている個人や法人のことです。個人事業主であっても、人を雇って給料を支払っている場合は、支払調書の提出義務があります。

 

ただし、源泉徴収義務者ではない場合は、支払調書を作成する必要もありませんし、提出の義務もありません。「源泉徴収義務者ではない場合」というのは、人を雇っていない個人事業主などのことです。

支払調書の提出先

支払調書は作成者が事務所などが存在する所在地の税務署に提出します。支払調書の提出義務が生じるのは、源泉徴収義務がある人だからです。

 

また、提出先は市区町村ではありません。確定申告を行う場合と同じ、税務署に提出するので注意してください。

 

なお、支払調書を受け取った側には、提出の義務は発生しません。あくまで自分自身の控えとして保管しておきましょう。

支払調書の締切は翌年の1月31日

支払調書の締め切りは原則として翌年の1月31日とされています。支払いがあった日の属する年の翌年とされているので、もし支払いがなかった場合は支払調書の提出は発生しません。

締切を過ぎた場合のペナルティ

支払調書は必ず締め切りまでに提出しなければなりません。もし仮に支払調書の提出期限が過ぎた場合は、所得税法に基づいて以下のような罰則が科せられます。

 

「1年以下の懲役、または50万円以下の罰金」

 

なお、追徴課税は発生しません。追徴課税よりも重い罰則が科せられることになるので、注意しましょう。

支払調書の提出に必要な書類

支払調書を提出するにあたって、ほかにも必要な書類が存在します。提出書類はさまざまなケースによって異なります。

そこで、基本的な必要書類はもちろん、特殊な場合に必要な必要書類についてもそれぞれ解説します。

法定調書合計表

税務署に支払調書を提出する際、「法定調書合計表」という書類も添付します。この書類がないと税務署で支払調書を受け取ってもらえないこともあるので、必ず添付しましょう。

 

法定調書合計表とは、法定調書ごとに人員や支払った金額の合計、源泉徴収税の総額などを記載した書類です。法定調書そのものは60種類存在しますが、その中で法定調書合計表に記載する法定調書は以下の6種類です。

 

  1. 給与所得の源泉徴収票
  2. 退職所得の源泉徴収票
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金に関する支払調書
  4. 不動産の使用料などに関する支払調書
  5. 不動産を譲り受けた際の対価に関する支払調書
  6. 不動産等の売買や貸付けのあっせんをした際に発生する手数料に関する支払調書

 

上記の6種類それぞれについての法定調書合計表を作成し、支払調書に添付して税務署に提出します。

e-TAXかCD・DVDで提出する場合

法定調書は原則、定められた様式に必要事項を記載して提出することとされています。しかし、近年のIT化の影響で、CDやDVDなどを使用した提出やe-Taxでの提出も選択できるようになりました。

 

ただし、CD・DVDを使用して支払調書を提出する場合には、2か月以上前に申請を出し、許可をもらう必要があります。申し込みの人数などにより、認可が遅れる場合も多々ありますから、注意してください。

 

また、前々年の法定調書提出が100枚を超えた場合は、e-TaxまたはCD・DVDでの提出が必須です。書類での提出はできないので、この点も注意しましょう。この場合、事前申請は不要です。

支払先が外国居住の場合

支払先が国内居住の人ばかりとは限りません。ネット上での取引などの場合には、支払先が外国居住のケースもあります。

 

支払先が法人個人にかかわらず外国居住だった場合は、「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」という特別な法定調書合計表を使用します。国内居住の場合とは書類が異なるので注意してください。

提出した書類を間違えた場合

支払調書を提出後、誤りに気付いた場合や誤った書類を添付して提出してしまった場合には、再提出が必要です。その際に必要となる書類や記載方法は以下の通りです。

 

  1. 提出済みの支払調書の写し
    支払調書の控えを使用します。もし控えがない場合は、同様のものを作成する必要があります。その際、誤り分であることがわかるように右上部に赤字で「無効」と書きます。

  2. 正しい支払調書
    誤りを正した支払調書を作成します。この時、訂正分であることがわかるように右上部に赤字で「訂正分」と書きます。

  3. 提出済みの法定調書合計表の写し
    無効分の支払調書の法定調書合計表を作成します。そして「調書の提出区分」欄に無効を意味する「4」を記入します。

  4. 訂正分の法定調書合計表
    訂正分の支払調書の法定調書合計表を作成します。そして「調書の提出区分」欄に訂正を意味する「3」を記入します。

 

税務署に提出する支払調書とそれに付随する法定調書合計表は、上記の4つを作成します。ただし、支払調書は支払先にも提出をしているはずです。そこで、「再交付」と表示して新たに作成した支払調書を交付することも忘れないでください。

支払調書の書き方

支払調書は具体的にどのように書けば良いのでしょうか。初めて書く場合には、書き方がわからずに手が止まってしまうこともあるでしょう。

そこで、支払調書の実際の記載例やフォーマットの入手方法などについて解説します。

実際の記載例

支払調書に記載する主な内容は以下の通りです。

 

  1. 支払いを受ける者の住所や所在地、氏名や企業名など
    契約書などで確認し、正確に記載。

  2. 支払いを受ける者のマイナンバーまたは法人番号
    マイナンバーを記載する場合は右詰で記入。税務署提出用のみに記載。

  3. 報酬や料金の区分
    報酬や料金の名称を記載。例えば「原稿料」や「デザイン料」など。

  4. 報酬や料金の細目
    支払回数や名称などを記載。

  5. 支払金額
    年間で確定した支払額の合計を記載。支払調書作成日時点で未払いがある場合は、各欄の上段に未払額を記載。

  6. 源泉徴収税額
    該当年度中に源泉徴収すべき金額の総額を記載。支払調書作成時点で未払いがある場合は、各欄の上段に未払額を記載。

  7. 支払者
    報酬や料金を支払った側の住所や名称や電話番号、マイナンバーまたは法人番号を記載。

 

上記の中で「4.報酬や料金の細目」については、報酬の区分によって記載する内容が決められています。その記載内容については以下の通りです。

 

  • 印税・・・書籍名
  • 原稿料・挿し絵料・・・支払回数
  • 俳優などの出演料、放送謝礼・・・出演した映画や放送の題名など
  • 弁護士などの報酬・・・関与した事件や事案名
  • 広告宣伝のための賞金・・・賞金の名称など
  • 教授・指導料・・・講義名など

フォーマットは国税庁のホームページから

支払調書は手書きするタイプと、パソコン上で直接記載して作成するタイプの2種類が存在します。パソコン上で直接記載できるタイプは、修正も大変簡単なのでおすすめです。

 

手書きタイプと直接パソコンで入力して作成するタイプの2種類は、どちらも国税庁のホームページからダウンロードが可能です。

消費税は込みで記入

支払調書に記載する金額は、原則すべて消費税込みで記入することになっています。誤って消費税抜きの金額を記入して提出してしまうと、後日再提出しなければならなくなります。消費税込みの金額を必ず記入するようにしてください。

支払調書を受け取る側の注意

支払調書は作成するばかりではありません。報酬などの支払者が作成した支払調書を受け取るケースもあります。その場合、いくつかの注意点があります。詳しい解説とともに紹介しますので、参考にしてください。

受け取る側に提出義務はない

フリーランスなどの業務請負側が何も言わなくても、報酬を支払った側が作成した支払調書を送付してくれる場合があります。業務請負側は、支払調書の税務署への提出義務はありません

 

支払調書は支払者からすでに税務署へ提出されています。業務請負側が支払調書を提出すると二重提出になり、税務署側での業務が煩雑になる可能性があります。あくまで請負側の控えとして送付してくれているものなので、保管しておきましょう。

確定申告にも本当は不要

支払調書自体は、源泉徴収などの内訳が記載された重要な書類です。報酬支払者にとっては、税務署に提出しなければならない書類でもあります。

 

しかし、報酬受け取り側にとっては絶対に必要な書類とは言えません。なぜなら、確定申告の際にも支払調書の提出は不要だからです。

 

確定申告で提出不要な支払調書は、言い換えるなら本来は報酬支払い側が報酬受け取り側に発行しなければならない書類ではないということになります。よって、支払側に支払調書の発行義務はありません

支払調書を発行してもらう場合

支払調書は確定申告時には提出不要な書類です。しかし、確定申告を行う際、源泉徴収を行った正式な企業名を記載しなければならないことがあります。通常、契約書などに正式な企業名が書かれていますが、紛失またはわからない場合は、支払調書が役立ちます。

 

支払調書は本来発行義務がない書類です。そのため、発行してもらう際には支払者側に手間をかけてしまうことになるので、その点を注意してください。発行を依頼する際は、丁寧にお願いしましょう。

 

また、支払先でもある本人に支払調書の控えを発行する際、本来ならマイナンバーの記載が必要です。個人情報提供の制限で規定されているからです。

 

しかし、支払調書にマイナンバーなどを記載するのは税務署提出分のみとなっており、控え分にマイナンバーの記載はありません。発行される控えにもマイナンバーの記載がないので、その点にも注意してください。

間違えやすい他の帳票との違い

支払調書と混同されやすい帳票が存在します。一見、似ているような帳票も存在しますが、すべて別の帳票であり、間違えて提出してしまうと再提出しなければならなくなる可能性も出てきます。

そこで、具体的な帳票の種類やその中身について紹介します。

法定調書は現在60種類

支払調書は法定調書の1つですが、法定調書自体は現在60種類存在しています。これら60種類の法定調書は大きく4つに分類されています。その4つの分類とその中に含まれる主な法定調書については以下の通りです。

 

【所得税法に規定するもの】

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  • 利子等の支払調書
  • 配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書

 

【相続税法に規定するもの】

  • 生命保険金・共済金受取人別支払調書
  • 退職手当金等受給者別支払調書

 

【租税特別措置法に規定するもの】

  • 上場証券投資信託等の償還金等の支払調書
  • 特定新株予約権の付与に関する調書
  • 非課税口座年間取引報告書

 

【国外送金等調書法に規定するもの】

  • 国外送金等調書
  • 国外財産調書
  • 国外証券移管等調書
  • 財産債務調書

 

原則として「支払調書」と呼ばれている「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、「所得税法に規定するもの」に属します。

源泉徴収票との違い

源泉徴収票とは、給与に対する調書です。会社が給与所得者の年末調整を行う際に作成する調書で、給与所得者への送付も義務付けらています

 

一方の支払調書は報酬や賞金などを支払った場合に作成する調書であり、「給与」ではありません。また、支払を受け取る側に対しての発行や送付も義務付けられていません。

給与支払報告書との違い

給与支払報告書は、内容については源泉徴収票とあまり変わりません。「給与」という言葉が入っているように、給与に対して作成する調書です。

 

ただし、給与支払報告書は住民税の計算に使用する調書です。そのため、提出先は税務署ではなく市区町村という違いがあります。

他の支払調書

支払調書には、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」以外に3種類あります。それぞれの支払調書の内容については以下の通りです。

 

  • 不動産の使用料等の支払調書
    借地に対する地代や家賃を支払った際に作成する調書

  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
    不動産などの売買で対価を支払った場合に作成する調書

  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
    不動産などの売買や貸付で仲介料を支払った場合に作成する調書

支払調書を作成する事例と提出義務について把握しよう

支払調書は源泉徴収義務者にとっては大変重要な書類です。混同されやすい法定調書も多数あるので、自分がどの支払調書を作成しなければならないのかを把握して、正しく提出してください。

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