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法人保険で節税対策とは?法人保険の仕組みや税制改正についても解説

「法人保険で節税できる」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、税制改正によって法人保険はより複雑になり、法人保険の節税の仕組みを理解するのは難しいですよね。ここでは、法人保険の節税の仕組みや法人保険のデメリット、税制改正についても解説します。

公開日 : 2021/01/23

更新日 : 2021/01/23

目次

法人保険で節税になる?よくある事例をチェック!

法人保険に加入すると節税対策になる。そんな話をよく耳にしたことがある方は多いと思います。しかし実際、保険に加入するとなぜ節税対策になるのでしょうか。今回の記事ではそのような疑問にお答えします。

法人保険に加入したAさん

会社を経営する際、節税対策はとても重要です。なぜなら法人は個人よりも扱う金額が大きいからです。法人税対策として、法人保険へ加入する方法があります。

 

例えば

 

法人税の節税対策としてAさんはB生命の法人保険に加入しました。 契約条件は下記です。

 

保険金額:1億円 保険料: 年3,143,081円(全額損金算入) 解約返戻金の返戻率のピーク:7年後 ピーク時の返戻率:87.2%(19,186,500円)

 

簡単にまとめると、保険金1億円の保険に加入し、年間約300万を保険料として支払い、その300万は全額が損金です。 法人保険は後に解約すると、解約返戻金としてお金が戻ってきます。最も解約返戻金が高い7年後に解約し、支払額の87.2%である約1,900万が戻ってきた場合、節税となっているのでしょうか。

 

「年間約300万の保険料が損金算入されるのはわかるけど、戻ってくる約1,900万はどうなるか」。また「もし1,900万が益金だった場合はトータルでみた場合節税対策になっているのか」。今回はそんな法人保険の節税の疑問について、法人保険で節税するための仕組みやデメリット、2019年の税制改正についてご説明いたします。

法人保険は必ず節税できるわけではない

「法人保険に加入すれば節税できる」というのは間違いです。正しい保険を選び正しい財務処理をしないと、むしろ損失を被ってしまうのが法人保険なのです。

法人保険は課税の繰延

先ほどの事例の場合、7年後の返戻率がピークの時期に解約返戻金を受け取ると、全額が益金に算入されます。そのためその益金に法人税がかかってしまい、節税対策とはなりません

 

しかしその年に受け取った金額以上の経費を計上し、損金に算入することができれば法人税を払う必要はなく節税できます。では受け取った金額以上の経費を計上するにはどうすればいいのでしょうか。それは退職金です。

 

退職金は通常の給料と同じように経費に計上することができます。そのため役員の退職時期に合わせ、解約返戻金がピークになる法人保険を選べば、解約返戻金による益金と退職金による費用を相殺することができます。

 

法人保険とは?

法人保険とは一体なんなのでしょうか。法人保険と一言でまとめても、様々な種類があります。ここでは法人保険の概要について説明いたします。

法人保険(節税保険)の概要

法人保険とはどういうものなのでしょうか。法人保険は契約者が法人となるため法人保険と呼ばれ、法人向けに特化した内容となっています。例えば、毎月の保険料を法人で損金として経費に計上できる商品。解約した際に解約返戻率が高く、80%以上の解約返戻金を受け取ることができる商品などが法人保険です。

 

法人保険は保険料を損金として算入でき、高額な解約返戻金を退職金にあてることができます。そのため、長い間節税対策の1つとして活用されてきました。

 

しかし現在は2019年の税制改正によって、節税対策の保険の規制が行われました。それにより、返戻率によって変わりますが、以前のように保険金を損金算入できなくなりました。また年数などによって損金算入できる割合が変わり、とても複雑な損金算入のルールに変わりました。

 

「全損」「半損」「1/4損」とは

法人保険に契約すれば、保険料が全て損金に計上できるわけではありません。内容により様々なタイプがあります。支払った保険料の全額を損金として計上できる全損タイプ。半分が経費になる半損タイプ。1/4が経費になるタイプ、資産としてみられてしまうため、損金として認められないタイプがあります。

 

法人所得=会社の利益ー費用なので、損金を増やすことができれば法人税を減らすことができます。そのため、保険料が全損として算入できる保険を選ぶことが、法人税を減らしながら保険料を支払うには重要です。

 

 

 

 

 

「法人保険で節税」の仕組みとは?

法人保険で節税とはどのような仕組みなのでしょうか。ここでは、法人保険をどのように扱えば節税となるのか、その方法を紹介します。

法人税の課税対象となる「利益」を減らす

そもそも法人税はどのように算出するのでしょうか。法人税は下記の式に当てはめると求めることができます。

 

法人税=法人所得×法人税率

 

法人税率は、国によって会社の規模により決められています。そのため、法人税を下げるには法人所得を下げるしかありません。では法人所得はどのように求めるのでしょうか。法人所得の求め方は下記の式にあてはめます。

 

法人所得=法人の利益ー費用

 

多くの損金を計上することは、費用の増大になるため法人所得の減少につながり、結果として法人税を下げることができます。保険料は損金として計上できるため、法人税を減らすための節税対策として使われるのです。

 

 

法人税の節税における「損金」

保険料を損金として計上できることを説明しましたが、保険はその一部または全額を資産ととらえ、損金として算入が認められない場合もあります。保険料をどのくらい損金として計上できるかは保険内容によって異なります。そのため、節税対策としては保険料を損金として計上できる割合が高い保険を選ぶ必要があります。

 

しかし2019年の税制改正により、保険料を損金として算入することが難しくなりました。ピーク時の解約返戻金率の違いや、被保険者一人当たりの保険料額、保険の年数など様々な条件によって損金算入できる割合が変わります。また同じ保険内容でも、契約時からの年数によって、保険料の損金算入の割合が細分化されました。そのため、非常に複雑な制度となり、税務関係の知識が豊富な方以外は、税理士などの専門家に相談するのが安心です。

「解約返戻金」と「解約返戻率」に注意

法人保険を解約した場合、解約返戻金というお金を受け取りますが、この金額は常に一定ではありません。解約返戻率というものがあり、毎年変わります。解約返戻率が最も高い年に解約をすれば、最も多くの解約返戻金を受け取れます

 

解約返戻率は契約時から徐々に高くなり、ピークの年を超えた場合、それ以降の年は徐々に下がっていきます。

 

例えば解約返戻率のピークが7年後だった場合、5年後よりも6年後、6年後よりも7年後の方が受け取れる解約返戻金は大きくなります。そして、7年後を過ぎると、それ以降は徐々に解約返戻金の金額は減っていきます。

法人保険の出口戦略を考えておく

解約返戻金は解約返戻率がピーク時に解約することで、最も多くの解約返戻金を受け取ることができます。しかし解約返戻金は会社の益金として計上されるため、受け取った解約金に対して法人税がかかってしまいます。それでは解約返戻率のピーク時に解約しても意味がありません。

 

そこで考察すべきは出口戦略です。出口戦略とは、解約返戻金の使い道のことです。解約返戻金を受け取った際に、同じ金額の支出を計上できれば、解約返戻金の益金と支出が相殺されます。そのため解約返戻金を受け取る際は、あらかじめどのように支出を計上し、益金と相殺するかを検討しておく必要があります。

 

多くの場合、解約返戻金と相殺するための支出として退職金を計上することが一般的です。

法人保険のデメリットとは?

法人保険はメリットだけではありません。法人保険のデメリットを理解しないと、経営の圧迫にもなりかねません。法人保険のデメリットについてご説明します。

法人保険解約の時期によって損失が出る可能性も

法人保険は携帯電話などと違い、解約する時にお金はかかりません。逆に解約した際に、今まで支払った保険料の一部または全額を解約返戻金として受け取ることができます。

 

しかし法人保険は解約返戻率のピークに向けて徐々に上がっていくため、早期に保険を解約してしまうと解約返戻率が低く、支払った保険料の半分も返ってこない場合もあります。

 

そのため、保険を早期に解約してしまうと大きな損失を被ります。そのため、法人保険を契約する際には、早期に解約した場合の解約返戻率をあらかじめ確認し、早期に解約することがないように準備をしてから契約することが重要です。

会社のキャッシュフローが悪化する

法人保険を契約した場合、当たり前ですが、毎月保険料を支払います。保険料は内容によって異なりますが、手厚い保障があるものはその分保険料は高くなります。

 

そのため毎月、現金が減ることになり、結果的にキャッシュフローが悪化してしまいます。法人保険に加入することは毎月の支出を増やすことになるので、キャッシュフローが安定していない会社が法人保険に入ることは、経営を圧迫してしまいます。

適していない法人保険加入は節税にならない

法人保険にはさまざまな内容がある。解約返戻金のピークの時期の違いや、保険料の損金算入の割合、掛け捨てなのか満期には保障金が受け取れるのか、毎月の保険料はいくらなのか。

 

会社に合った法人保険を選ばないと、節税効果が期待できないだけではなく、キャッシュフローの悪化を招いてしまう。そのため法人保険を選ぶ際には、節税対策の視点はもちろんだが、その他にも様々な視点から、どの保険内容が会社に適しているのか判断する必要がある。

 

 

法人税の節税はあくまで課税の繰延

法人保険は解約した際に、今まで支払った保険料の一部または全額を解約返戻金として受け取ります。しかし解約返戻金は益金として計上されるため、会社の利益となってしまい、法人税として課税されます。

 

そのため、毎月保険料を支払い、損金に計上し節税対策をしていても、その分が全て解約時に解約返戻金として益金計上されます。これでは結局のところ保険を解約するだけでは課税を未来に先に伸ばしているにすぎません。これを「課税の繰延」と言います。

 

法人保険の本当のメリット

法人保険は節税対策としてではなく、その保険内容を理解し活用すれば、とてもいい効果があります。法人保険の本当のメリットをご紹介します。

法人保険で安心を買う

法人保険の1番のメリットは「安心」です。会社を経営する際に、設備投資や銀行からの借り入れで借金を抱えます。そのような状況で経営者に万が一のことがあった場合、ご遺族や事業後継者の方はどうなるでしょうか。

 

法人保険に入っていれば、経営者の方に万が一のことがあった場合は、死亡保険としてお金を受け取ることができます。また何事もなく満期に達した場合も、受け取る保険料を退職金に当てることができます。このように法人保険に入っていれば、誰にも迷惑をかけず事業もスムーズに継承できます。そのような「安心」を買うことが法人保険の1番のメリットです。

法人保険で資産運用

経営者として、万が一の事態に備えてお金をプールしておくことは重要です。法人保険は毎月保険料を払いますが、支払った金額は解約返戻金や受取保証金で確実にお金を受け取ることができます。また保険内容によっては、支払った保険金額よりも金額を増やして返ってくることもあります。

 

将来のための設備投資や退職金のために、定期預金でお金を持っているよりも、法人保険で安心を買いながら、将来のための資金を運用することはとても賢明な判断です。

2019年の税制改正での変更内容とは?

2019年に、国税庁によって税制改正が行われました。この税制改正によって、節税対策としての法人保険の価値は薄れました。ではどのような変更点があったのでしょうか。

貯蓄性の高い保険の損金取扱いが厳格に

2019年の法改正により、保険料を損金として計上することに対する規制が入りました。今回の改正は、節税対策の保険契約の規制にあります。

 

これにより解約返戻率が50%を超えるものは、全額を損金として計上することは認められません。50%を超えるものはその一部を資産として計上しなければいけません。解約返戻率が高いものほど、保険料を資産として計上する必要があります。そのため、今までよりも法人保険の節税としての効果は減ってしまいました。

 

第三分野保険商品も改正の対象に

税制改正後も、解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険については「被保険者1人あたりの年間保険料が30万円以下の場合」は全額損金として算入できます。しかし被保険者1人あたりの年間保険料が30万円を上回る場合、保険料の一部のみしか損金として算入できません。

 

また、損金に計上できる割合は年数によって変わります。保険契約年数の最初の40%の期間、40%から75%の期間、75%超の期間によってそれぞれ損金として計上できる割合が変わります。

法人保険の種類別税金対策の効果

法人保険には様々な種類があります。それぞれの保険の特徴を理解し、会社に最適な保険を選べるようになりましょう。

養老保険・年金保険

養老保険とは、もし被保険者が亡くなった場合、死亡保険金を受け取れます。また被保険者が生存したまま満期となった場合は、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れる保険です。

 

年金保険とは、公的年金とは別に個人的に年金を準備する私的年金のことです。年金保険は、契約の際に決めた時期まで保険料としてお金を積立ます。その後、その積み立てた金額から年金として、保険金を受け取ることができます。

 

これらの保険は、従業員が死亡した時に死亡保険金として保障することができます。また従業員が退職する際には、戻ってきた解約金を退職金に当てることができます。そのため、従業員への福利厚生の目的として加入する法人も多いです。

 

被保険者が死亡した場合、と生存していた場合と共に、お金を受け取ることができるため、保険料は高く設定されていることが多いです。そのため、従業員全員を加入対象とした場合は保険料の負担が多く、キャッシュフローの悪化の恐れもあります。

 

長期定期保険・逓増定期保険

長期定期保険は契約の満了日を95~100歳に設定でき、終身雇用のように保障してくれる生命保険です。定期保険のため掛け捨てですが、解約返戻率が高いのが特徴です。

 

逓増定期保険は早期に解約返戻率が高くなるのが特徴です。数年〜10年で返戻率が100%近くまで上がります。しかしピークをすぎた後には返戻率が下がっていくので注意が必要です。また最大の特徴としては保険金が契約時の5倍にまで増加します。しかしその分保険料も高い保険となっています。

 

これらの保険は資産形成の効果が高く、経営者に利用されることが多いです。経営者の方に万が一のことがあった場合は、死亡保険によって事業の円滑な継承や会社の資金繰りに活用されます。また解約返戻率が高いので、解約返戻金を経営者の退職金にあてることもよく行われます。

 

これらの保険は保険内容や被保険者の年齢契約期間により、解約返戻率が変わります。そのため保険を契約する前に自身できちんと確認する必要があります。

節税対策において税理士に相談するメリット

税の専門家として独占業となっている税理士。今回は税理士に相談することのメリットをご紹介いたします。

最適な節税対策ができる

法人保険1つとっても様々な種類があります。会社にとってどの法人保険が最も適しているのか探すのは骨の折れる作業です。また経営者が法人保険を選ぶ際は、利益予測と納税予測を行い、その点も加味して最も適切な節税対策を行う必要があります。

 

実際には税額控除や所得控除などの制度も活用して、節税対策を行います。しかしどの制度を活用すれば良いのかは税務署では指導してくれるわけではありません。そのため、税の専門家である税理士のアドバイスを受けることが必要になります。

 

法人保険による節税保険へのアドバイスも

2019年の税制改正によって、法人保険の損金算入が変更されました。変更内容は、法人保険での節税対策に対しての規制となっています。そのため、法人保険の損金算入ルールはとても複雑なものになりました。経営者の方があまり税に詳しくない場合、膨大な時間と労力がかかるので、法人保険については税理士に相談すると安心です。

 

また税理士では、法人保険以外の節税方法や、様々な税に対する悩みに対応できます。経営者の方は、その分の時間を経営に集中できます。そのため、税に対する不安がある方は、専門家である税理士に相談すべきです。

法人保険などの節税対策は税理士に相談しよう!

税理士に相談することは賢明な判断です。ここでは税理士に依頼することはどれだけ費用対効果があるのか、について説明いたします。

税理士の費用は高い?

税理士に仕事を依頼する際、1番気になるのはその費用ではないでしょうか。税理士に依頼せず、自社で処理する場合も人件費はかかります。自社で処理する場合、人件費は安いですが時間がかかり、ミスなどもあるためかなりの時間を要します。

しかし税理士は税の専門家として毎日税に関わる仕事をしています。もちろん作業時間は少なく済み、ミスもありません。そのことを考えると税理士の費用はそれほど高い費用とはなりません。

税理士の仕事は税だけではない

税理士の仕事というと決算や確定申告、節税対策が連想されますが、それだけではありません。税理士の業務には経営計画や資金調達、融資相談なども含まれます。

 

また国税庁は基本的に税金を取るために仕事をしています。企業は個人に比べ税務調査が入る確率は高くなります。そのような際にしっかりと会社のことを説明しなければなりません。経営者だけでできればいいですが、最悪の場合追徴課税ということも起こります。

 

そのようなリスクを減らすためにも税理士に仕事の依頼をすることは会社の経営を長い目で見た場合、必要になってきます。

 

 

コロナ渦の今こそ税理士に相談すべき

コロナの影響で今後の会社の先行きは不透明になっています。そのような時こそ、もう一度会社全体を見直し、節税対策など固定費の削減が必要です。

 

また経営計画を練り直す必要も出てくるでしょう。そのような時に、経営計画のアドバイスもできる税理士と仕事をすることは会社にとってプラスになります。今後の見通しが立たない今だからこそ、専門家である税理士の力が必要な時です。

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