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法人の損金(経費)はどこまで計上していい?合法的な節税対策方法

法人の損金(経費)について深く知ることで合法的な節税が可能になります。一方法人の損金(経費)には損金不算入金額といって経費にできない範囲が存在します。そこで本記事では損金について詳しく解説。合法的な6つの節税方法をご紹介しています。

公開日 : 2021/02/12

更新日 : 2021/02/12

目次

法人の経費と損金の違い

最近、自分の会社を法人化したAさん。かかった経費を計算して法人税を算出したいと思っていますが、損金という言葉が出てきました。Aさんは、経費と損金は同じものだろうか、と迷ってしました。

 

もしかすると、同じようにお考えになったことがあるかもしれません。結論から言いますと、経費と損金には違う点があります。では、どのように違うのでしょうか。損金に含まれない経費にはどのようなものがあるでしょうか。

法人税の計算方法でわかる経費と損金の違い

会社の場合、経費とは事業を経営するためにかかった費用のことです。会社ではたくさんの費用がかかりますが、その一部が経費として扱われます。そして、会社は税金を納めなければなりませんが、その際に収益から費用を引いて利益(所得)を算出します。

 

しかし、税法上費用に含まれるものとそうでないもの(損金不算入)とがありますので、税務会計を行う際には損金という言葉を用います。同様に税法上収益に含まれるものとそうでないものとがありますので、税務会計上では益金という言葉を使います。

 

簡単に言うと、財務会計上の収益・費用・利益は、税務会計上の益金・損金・所得に対応します。

 

財務会計:収益-費用=利益

税務会計:益金-損金=所得

法人の損金にならない費用(損金不算入)とは?

会計処理をする上で損金不算入となる項目は以下の通りです。それぞれについて、わかりやすく説明します。

 

・役員給与

・交際費

・寄付金

・租税公課

・減価償却の超過額

役員給与

役員(取締役など会社の経営に関与している立場の人)に支払われる給与は、基本的に損金に含めることはできません。その理由は、もしそれを認めてしまうなら、役員給与を増やして損金額を大きくし、所得税を減らすことができてしまうからです。

 

この給与に含まれるのは、現金はもちろん会社から支給された何らかの物品会社が所有する車などの無償あるいは低額貸与、無利息あるいは低利息での会社からの貸し付け、会社が加入している保険、便益が生じる何らかの制度などがあげられます。

 

しかし、損金扱いできる給与もあります。例えば、事業年度の期間中、毎月決まった額の給与が支給される場合(定期同額給与)、損金に含めることができます。また、賞与も事前に税務署に届け出るなら(事前確定届出給与)、損金として認められます。

 

月給は、会計年度の最初の3ヶ月目までに支給額を決めておく(定期同額給与)

ボーナスは、会計年度の最初の4ヶ月目までに支給額を決めて税務署に届け出る(事前確定届出給与)

※ボーナス(事前確定届け出給与)については、届け出た通りの額を支給しないと損金に算入できず、1円でも違ったら全額損金不算入になりますのでご注意ください。

交際費

交際費も原則として損金に含めることができません。なぜなら、所得を減らすために意図的に交際費を計上することを防ぐためです。しかし、一人当たり5,000円以下の飲食費は損金することが出来ます。では、飲食費が一人当たり5,001円になってしまった場合はどうなるでしょうか?その場合は、5,001円すべてが損金不算入となってしまいます。

 

なお、資本金が1億円以下の会社では、800万円までの交際費を損金にするか、交際費の50%を損金にするかを選択できます。資本金が1億円を超える会社交際費の50%が損金扱いになります。令和2年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金の額等が100億円を超える法人については接待交際費の額のすべてが損金不算入とされています。

寄付金

寄付金とは、見返りを求めずに金品を提供することです。また、時価よりも低額で何らかの贈与を行った場合も、時価と受け取った金額との差が寄付金となります。加えて、無利息あるいは低利息で貸し付けを行った際も通常の利息との差が寄付金扱いになります。

 

寄付金は、全額が損金不算入となるわけではないですが、損金に含める額に制限があります。その理由は、損金額を増やす目的で寄付することを防ぐためです。しかし、国や地方公共団体などに寄付する場合は、その全額が損金として認められます。

 

一般の寄付の損金算入の限度額は次のように計算します。

 

(資本金等の額×月数/12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100)×1/4

 

例えば、資本金等の額が2,000万円、所得の金額が3,000万円の1年決算の会社は次の通りです。

 

(20,000,000×12/12×2.5/1,000+30,000,000×2.5/100)×1/4=20万円

 

この会社の場合、事業年度中に行った20万円の一般の寄付まで損金として計上できます。

租税公課

損金に含めることができる税とそうではない税があります。例えば、固定資産税、印紙税、消費税(税込経理の場合)、自動車税、事業税などは全額損金算入とすることができます。しかし、法人税、地方法人税、住民税などは損金不算入となります。

 

また、損金不算入されない主な租税公課として延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除く)があり、損金算入時期は納付した事業年度となります。

減価償却の超過額

建物、車両、機械、器具備品などは減価償却資産として扱うことができます。項目ごとに耐用年数と償却率が税法で定められており、それに従って償却限度額を算定します。その限度額内であれば損金に含めることができますが、それを超える金額は損金不算入となります。

 

例えば、1,000万円の普通自動車を購入したとすると、耐用年数は6年、償却率は0.167となるので、定額法で減価償却する場合、次のように計算します。

 

10,000,000×0.167=167万円

 

したがって、167万円までは損金になりますが、それ以上の金額を含めることはできません。

 

しかし例外として、その資産を使用するのが1年以内である場合や取得価額が10万円に満たない場合は、全額を損金として計上できます。また、資金金の額が1億円以下の中小企業者等の場合、30万円未満で取得した減価償却資産は全額を損金算入することができ、1年間で300万円まで認められています。その他にも細かな要件が規定されています。

法人は損金(経費)計上できる範囲が広がる

生命保険社会保険福利厚生費などは損金として計上することができます。それぞれについて簡単に見てみましょう。

生命保険は法人で加入する

個人事業主と法人とでは、生命保険の取り扱いが異なります。法人の場合、法人保険に加入することには、大きなメリットがあります。

 

例えば、従業員の身にもしものことがあった際に、生命保険は重要な役割を果たします。また、解約払戻金を担保にして、審査なしかつ低利息で貸し付けを受けることができます。そして、保険料の全額、半額、もしくは3分の1(逓増定期保険の場合は限定されない)を損金として計上することができます。

 

しかし、養老保険など解約払戻金が発生する保険の場合、解約返戻金は益金に含まれてしまうので注意が必要です。また、解約払戻金のない定期保険などで、一人当たりの保険料が30万円以下の場合、一定の条件を満たすとその全額を損金扱いできるというルールもあります。

社会保険の半分が経費に

個人事業主の場合、社会保険料控除によって国民健康保険と国民年金のために支払った金額がすべて控除されます。法人の場合、社会保険(健康保険と厚生年金)の半分は従業員が、半分は会社が負担することになりますが、会社が負担する分は損金として扱うことができます。

 

確かに、会社にとって社会保険を支払うことは大きな負担になりますが、社会保険を活用することによって従業員が医療機関を受診する際に高額な費用を全額負担しなくて済みますし、安心して老後の生活を送るための一助となるでしょう。結果として、会社への信頼に繋がります。

従業員の経費を福利厚生費に

福利厚生費とは、簡単に言うと従業員の益となり働く意欲を高めるために用いられる費用です。福利厚生費は、課税されず損金扱いになります。この適用を受けるためには、この制度が全従業員を対象にしていることや社会的に認めらる範囲の金額であることが必要です。

 

代表的なものをあげると、通勤手当健康診断社宅などの費用の負担があります。例えば、通勤手当は毎月15万円まで認められています。また、社宅や寮は相場の半分以上の金額を従業員が支払っている場合、会社が負担している分は福利厚生費とみなされます。

法人の損金(経費)計上による6つの節税対策

節税のために様々な対策を講じることができますが、6つの方法を取り上げてみましょう。

 

1、役員を増加して経費に

2、事務所家賃の家事按分

3、倒産防止共済

4、個人車を社用車として買い取り

5、リース料などの年間契約

6、固定資産税の経費計上タイミング

1、役員を増加して経費に

役員給与は、一定の条件を満たしていれば損金算入できます。そのためには、例えば毎月支払われる額が一定であること(定期同額給与)、事前に税務署にいつ、だれに、いくら支払われるのかを届け出ていること(事前確定届出給与)などが求められます。上手に活用すれば役員を増やすことによって節税することができます。

2、事務所家賃の家事按分

個人事業主の場合、自宅を仕事場として使用しているかもしれません。その場合、自宅の家賃、光熱費、ガソリン代などを損金に含めることができます。これを家事按分と言います。読み方は、かじあんぶん です。

 

例えば、自宅の家賃を例にとって考えてみましょう。家賃が1か月15万円と仮定して、自宅全体の1/3を仕事場として使用しているなら、15万円×1/3=5万円になり、これを損金に算入できます。また、時間で按分することもできます。もし、毎日平均8時間自宅で仕事を行っているなら、一日のうちの1/3を仕事場としているということで、15万円の1/3で5万円を計上できます。

 

光熱費車のガソリン代などは、仕事のためにどれほど使用しているのかを考慮し、適切な割合の分だけ損金に含めることができます。税務署に説明して理解を得られる範囲を超えてはいけません。

3、倒産防止共済

中小企業倒産防止共済とは、取引先の企業が倒産してその影響を受けて共倒れを防ぐために、無担保・無利息で貸し付けを受けることができる制度です。業種によって加入条件が異なりますので、注意しましょう。

 

掛金は、5,0000円から20万円まで選ぶことができ、万一の際は被害額と掛金総額の10倍のいずれか少ない額(最高8,000万円)を借り受けることができます。法人の場合、掛金は全額損金扱いになるので、節税対策にもなります。また、40か月以上契約しているなら、解約の時に掛金の全額が払い戻されます。

4、個人車を社用車として買い取り

個人名義の車を社用車として会社に譲渡するなら、会社は車を資産計上し、取得価格額を減価償却を通して損金算入できます。取得価額は、中古車として売りに出した場合の市場価格を参考にすることができます。もし、会社が時価相場の半分以下で取得するなら、個人はみなし譲渡所得として譲渡所得税が課税され、会社は譲渡価額と時価の差額が受贈益になります。

 

また、譲渡する際には是非会社名義に変更しましょう。しかし、法人名義になると保険料が高くなることがあるので、注意が必要です。それでも、社用車にするなら保険料やガソリン代が経費とみなされるので、メリットは大きいと言えるでしょう。

5、リース料などの年間契約

次の事業年度で使用するサービスの代金を予め1年分前払いしたものを短期前払費用と言います。例えば、3月決算の会社で次の事業年度で使用するリース品の代金を一括して3月までに支払った場合、それは短期前払費用という扱いになり、損金算入できます。

 

しかし、いくつか条件があり、代金を支払った日から必ず1年以内にそのサービスの提供を受けなければなりません。また、サービスの提供を受ける前の事業年度中にすべての支払いが完了していなければなりません。そして、一度この適用を受けると毎年継続していく必要があります。

 

加えて、この制度の適用を受けないものもあります。例えば、税理士の顧問料やコンサルティング料、広告料、新聞などの購読料などは適用されません。一方で、毎年更新するソフトウェアなどのライセンス料は、適用されるでしょう。

6、固定資産税の経費計上タイミング

固定資産税も経費として計上し、損金扱いにすることができます。計上するタイミングはいくつかありますが、固定資産税の通知が来た日に経費とすることができます。また、実際に納付した日に経費とすることもできますが、こちらの場合計上するタイミングが遅くなりますので、前者が良いでしょう。

まだまだある法人の節税対策

広告宣伝費も全額損金扱いとなります。テレビCM、新聞広告、広告ポスターなどを作成するのはいかがでしょうか。節税対策と宣伝効果で一石二鳥になります。ただし、広告の契約を結んだ時ではなく、広告が実行された時が計上時期になるので、決算が近づいている際に広告を出す場合は注意しましょう。

 

会議費も損金として計上できます。会議に伴って食事や飲み物が提供された場合は、会議費となります。また、レストランなどで取引先の人などと打ち合わせを行った際も、会議費として認められます。実際に会議をしていなければ、会議費とはなりませんので、議事録、参加者、場所などを提示できるようにしましょう。

法人の損金(経費)を深く理解し正しい節税を行いましょう

法人税を支払うことは法人の義務ですが、様々な方法で損金(経費)を増やし、所得を減らすことによって、合法的に節税することができます。しかし、どの節税方法を用いたらよいのか分からないことがありますし、各制度を正しく理解するためには、多くの時間と労力が求められます。それで、今一度お近くの税理士にご相談することをお勧めいたします。

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