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社宅を経費にして節税するには?仕訳方法についても徹底解説!

役員や社員に社宅を貸し出す場合と、住宅手当を支払う場合で税金が変わるということはご存じでしょうか?実は社宅の方が節税出来ます。そこで今回は社宅を貸し出した時の節税メリットや仕訳、消費税の取り扱いについて解説します。

公開日 : 2020/12/05

更新日 : 2021/02/15

目次

社宅とは何か?住宅手当との違いは?

そもそも企業が社宅を導入するのは、どのような目的があるのでしょうか?また住宅手当との違いはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説をしていきます。

社宅は社員に貸し出す住居のこと

社宅とは、社員の福利厚生の一環として、会社が社員の為に低家賃で用意した戸建てやマンションなどの集合住宅のことです。ここでは社有社宅について解説いたします。

社有社宅とは

〈メリット〉

社有社宅とは、その名の通り会社が保有する社宅のことを言います。土地の購入や建設に費用がかかるため、大企業ほど保有率が高く、社員3,000人以上の会社のほとんどが持っていると言われています。

 

〈デメリット〉

社有社宅とは、土地や建物を自社で所有しているので、「不動産資産」の一つとされています。そのため、借入金の利息や不動産取得税・登記料・固定資産税・印紙代・修繕費など社有社宅に必要な費用を経費として損金として扱うことができます。

 

 

さまざまなメリットがある社有社宅ですが、デメリットも存在します。それは、会社側が賃料・敷金・礼金を負担する必要はありませんが、管理費や修繕費などのコストがかかってしまいます。

 

社宅が老朽化して大規模修繕が必要となった場合の修繕費負担は、非常に大きなものとなってしまいます。しかも、大規模な修繕ができるだけの資金を用意しても修繕費用に見合った稼働率が今後も見込めるのかという判断は非常に難しい部分です。

 

そして、最大のデメリットは初期費用です。社宅にできる土地と建物を用意するとなると、大きな初期費用が掛かります。この初期費用の負担ができる会社というのは限られてきます。

 

社有社宅というスタイルを選ぶ会社は年々減少しており、借り上げ社宅の方が主流となっています。このほかに、費用だけの問題だけではなく同じ会社の人と暮らすことを嫌うなど人間関係の問題も出てきます。

 

借り上げ社宅とは

地方や海外など遠方に住んでいる人材にも、自社の採用枠を広げたい起業や、自社の転勤の発生頻度が高い起業にとっては、有効な方法の一つといえます。借り上げ社宅には、社員側と企業側のそれぞれにメリット・デメリットがあります。

 

まず社員側のメリット・デメリットについて解説を致します。

 

〈社員側のメリット〉

・入社や転勤時に住宅を探す必要がなく、引っ越しが必要な際の負担が軽減される

・賃貸契約手続きや家賃支払い処理も不要になる

・個人で契約するよりも家賃が安くなるのが一般的である

・賃貸契約の更新料なども発生しない

 

〈社員側のデメリット〉

・所定物件であるため、好みの物件や場所を自由に選ぶことが難しい

・所得額が減ることで社会保障額が減る可能性がある

 

続いて企業側のメリット・デメリットについて解説を致します。

 

〈企業側のメリット〉

・住宅手当がなくなるため企業の節税となる

・住民手当と比べて社員からの家賃徴収によって企業収入を得ることができる

・福利厚生を充実させるための一環となるため、求人の際にもアピールできる

・住民手当と比べて社員の税負担を軽減することで社員満足度が向上する

・転勤者の負担が軽減されるため、転勤希望や快諾が増える

・自社所有ではなく借り上げ社宅なら管理負担も少なく済む

 

続いては企業側のデメリットについて解説を致します。

 

〈企業側のデメリット〉

・住宅賃貸の契約手続き、支払手続きの手間が発生する

・借りている部屋が空きになっても家賃だけは発生する

・解約時の違約金についてのリスクを考える必要がある

住宅手当は補助金を支給すること

住宅手当は家賃や住宅ローンで使うことが可能であるため、社員にとっては住宅関連の費用を補助するものとして非常に有難い福利厚生の一つです。しかし、近年では住宅手当の支給をしている企業は確実に減ってきています。

 

その理由の最大の要因としては、企業側が住宅手当の費用を捻出することが難しい状況になっている背景があります。平成31年度では、住宅手当を支給している企業は50%にとどまっている状態です。

 

つまり、住宅手当を支給されているということは、決して当たり前のことではありません。

社宅で税金を削減できる?

ここでは、社宅で税金は削減が可能であるのかどうかについて解説をしていきます。

借り上げ社宅は家賃を経費処理できる

借り上げ社宅を社員に貸し付けることで、不動産会社に支払う家賃を経費処理することが可能です。詳しい計算方法に関しては改めて説明をさせて頂きますが、経費処理をすることができるので節税に繋がります。

持ち家は事務所兼自宅として経費処理できる

持ち家であっても会社に売却して、社宅として住むことができます。会社に家賃を支払うことで社宅として住むことも可能です。

 

当然のことながら家賃は一部負担が必要ですが、自宅を社宅にすることで通常は自己負担となる固定資産税・火災保険料・建物修繕費を会社の費用として支払うことができます。

入居者側にもメリットがある

社宅の方が所得税、社会保険料などで入居者にメリットがあり、手取り額が増える可能性があります。

 

家賃が月10万円の部屋を借りて社宅として、社員から3万円家賃を受領してその分社員の給与を7万円下げたとします。

 

そうすると社員の給与は7万円の減少となってしまいますが、10万円の部屋に3万円で住むことができるため、結果的に家賃負担は7万円下がる計算となってきます。

 

入居者にはメリットが少ないように見えますが、給与が7万円下がれば所得税・住民税・社会保険料が下がるため、結果として社員の手取りが増える計算になってきます。

社宅家賃の計算方法は?

ここでは社宅家賃の計算方法について解説を致します。

国税庁が定める定義

経費算入するには1か月あたり一定額の家賃以上を受け取っていることが条件です。最低でも、相当額の50%以上を受け取っていれば経費処理が可能です。また、この条件を満たすことが出来なければ、給与課税されてしまうため注意が必要です。

社員の場合

社員の場合は下記3つの計算式の合計額が賃貸料相当額となってきます。

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))

(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

社員に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。社員から賃貸慮相当額より低い家賃を受け取っている場合は、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。

役員の場合

社員と役員では、計算方法が変わってきます。役員の場合は次のように計算をします。

 

〈小規模住宅の場合〉

1.その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%

2.12円×その家屋の総床面積÷3.3平方メートル

3.その年度の土地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 

「通常の賃貸料の額」=上記1+2+3

 

小規模住宅であれば、役員であってもこの計算式で問題はありません。通常、約2~3万円とかなり低額な家賃設定となっています。

 

〈小規模以外の住宅の場合〉

⑴自社所有の社宅(社有社宅)の場合

1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%

2.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

 

通常の賃貸料の額=(上記1+2)×1/12

 

⑵借り上げ社宅の場合

会社が支払う賃貸料の額の50%相当額と上記⑴の「通常の賃貸料」の額のどちらかが多い方の金額が「通常の賃貸料の額」となってきます。

 

しかし、借り上げ住宅の場合は、一般的に家主さんから上記計算方法の資料を預かることは困難といえるでしょう。実務上は支払う賃貸料の50%を賃貸料とすることが多いです。

 

〈豪華な社宅の場合〉

一般の賃貸料相当額が通常の賃貸料の額となっています。

個人事業主の場合

個人事業主の方が、自宅を自宅兼事務所としている場合は、業務に係る部分を按分計算として経費にすることができます。何個かある部屋のうち一部屋のみを業務に使っているのであればその部分の面積に応じて経費とすることが可能です。

 

しかし、事務所以外の部分に関しては経費として認められませんので、自宅兼事務所の大半を経費として認めてもらうのは非常に難しいといえます。

初期費用の取り扱い

賃貸契約となると賃料の他に、敷金・礼金・仲介手数料が必要となってきます。敷金は、将来的に返金されるお金であるため、全額会社の負担にすることができます。

 

礼金についても同様に会社負担が可能です。

 

賃料以外のお金として管理費や火災保険、仲介手数料などがあります。管理費については、家賃と同じように考える必要があります。

 

例えば家賃の個人負担割合が4割の場合は、管理費が10,000円であれば会社が6000円、個人で4000円を支払います。火災保険や仲介手数料も同様となっています。

仕訳方法、消費税の取り扱いは?

ここでは、社宅に関わる取引ごとの仕訳や消費税の課税区分について解説をしていきます。

家賃支払時の仕訳

法人が社宅の家賃(例8万円)を大家さんに払った場合は以下のように仕訳をします。

 

借方

金額

貸方

金額

地代家賃

80,000円

現預金

80,000円

 

あくまで、居住用建物なので消費税は非課税となっています。

給与天引き時の仕訳

社宅家賃を負担なしで貸し出してしまうと税務上問題となるため、一定割合を社員の方に負担してもらう企業が多いです。

 

通常50%が会社負担の限度額でもあるため半額で社員に転貸している会社が非常に多いです。また、ほとんどの会社では給与天引きにより徴収をしています。

 

会社と社員の間の契約は居住用という関係であるため、消費税区分は非課税売り上げとなっています。

 

借方

貸方

給与手当:400,000円

未払費用:277,500円

残業手当:10,000円

預り金:30,000円

 

預り金:50,000円

 

雑収入:52,500円

 

上記の仕訳は給与計算の結果、社員の給与は400,000円で、残業手当は10,000円だった源泉税や社会保険料の他に、社宅家賃52,500円を天引きして後日支給することで計算をしております。

初期費用発生時の仕訳

敷金は解約時に返金される預け金となっているため、費用処理をすることができません。敷金や敷金保証金といった資産勘定に計上します。

 

借方

金額

貸方

金額

敷金

150,000

現預金

150,000

 

なお礼金に関しては返金はされないので、費用処理が必要となってきます。法人税法の関係で、礼金は建物を賃借するために支出する権利金などに該当するため、決まった方法によって処理をする必要があります。

 

もし、支出した額が20万円未満の場合は、支出した事業年度に金額損金として処理することが可能です。勘定科目が基本的には決まっていないので、支払手数料や雑費などの科目を使うと良いでしょう。

 

ここでは、礼金として15万円を支払った場合の仕訳を記載いたします。

 

借方

金額

貸方

金額

支払手数料

150,000

現預金

150,000

 

原状回復の費用として敷金の一部を徴収されることがあります。この場合は、敷金残高と返金された金額との差額を修繕費として費用計上する必要があります。

社宅で節税するためにやることは?

社宅で節税をするためにやることとしてどのような方法があるのでしょうか。ここでは、節税方法について解説を致します。

法人名義で賃貸借契約を結ぶ

第一にすることとしては、法人契約で賃貸借契約を結ぶことです。賃貸マンションで居住するための契約を結ぶときは、必ず賃貸借契約書を結びます。このときの契約を個人ではなく、会社で結びます。

 

借主の部分は法人名で記入する必要があり、不動産物件を契約するときは必ず法人名義にする必要があります。役員社宅を実現するために、法人契約は必須です。

 

これを個人契約にして、個人のお金で家賃を支払い、会社から家賃分を支給するようにすると税務調査で全額否認されます。

 

役員社宅による節税では、会社から家賃の支払いを行う→家賃の一部を後から個人が会社に支払うという流れにする必要性があります。税務調査で否認され、税金の追徴課税を防ぐために必ず法人契約でサインするようにしてください。

物件の固定資産税課税標準額を調べる

賃貸料相当額を計算するには固定資産税の課税標準額を調べる必要性があります。固定資産税評価額を調べるには、不動産の1月1日時点の所有者に対し市町村から送付される固定資産税課税明細書を確認する必要性があります。

社内規定を整備する

社宅管理規定を作成する際の必要事項や注意点について解説をしていきます。

 

社員の公平性を保つために、社宅の入居資格を決めておくのは重要です。例えば、独身者のみを対象としたり、配偶者や扶養者がいる場合は、同居人として何親等まで認めるかなど入居者の制限を定めたりします。

 

その他にも、家賃の支払いを月額賃料の何%といったルールを決める必要性があります。また、仲介料や敷金・礼金は会社負担で、水道光熱費や町内会費・火災保険は入居者負担とするなど、費用負担の範囲を明示しなければいけません。

社宅制度をうまく活用して節税しよう

いかがでしたでしょうか。この記事では社宅の経費について詳しく解説を致しました。社宅制度をうまく活用すれば、しっかりと節税をすることができます。現在、社宅に住んでいらっしゃらない方などは、この記事を参考にしてくださいね。

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