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福利厚生費として飲食を経費にする3つの条件!経費にならない事例集

飲食代を福利厚生費とするためには、いくつかの条件や上限があります。本記事では福利厚生費に該当する飲食事例を徹底解説。会社と個人事業主での飲食を福利厚生費とする方法や、福利厚生費と類似する交際費、給与になる事例集もご紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

公開日 : 2021/03/25

更新日 : 2021/05/27

目次

福利厚生費として計上できる飲食の範囲

飲食代は福利厚生費として計上できますが、すべてが対象ではありません。福利厚生費として計上できる飲食の範囲は決められているのです。

そこで、まずは福利厚生費そのものについて紐解き、そこから飲食費の条件などを解説していきます。

そもそも福利厚生費とは?

福利厚生費とは、従業員とその家族の生活向上・健康増進などを目的とした支出のことです。なお、福利厚生費は厳密に「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類が存在します。

 

法定福利厚生とは、健康保険料や厚生年金などの社会保険料などです。さらに、事業主が全額負担をしている労災保険料も法定福利厚生です。社会保険料は事業主が負担している部分のみを計上します。

 

一方の法定外福利厚生は、使用者が任意で提供する福利厚生のことです。具体的には住宅手当などが挙げられます。これらは法律で義務付けられているわけではありませんが、事業主の判断で導入されます。

 

なお、ここで解説する飲食代は社会保険料や労災保険料とは異なるため、後者の法定外福利厚生に該当します。

福利厚生費と認められる飲食費の上限

福利厚生費として計上する飲食代は、上限や条件が設定されています。この上限や条件を知らずにすべてを飲食代として計上してしまうと、税務調査で否認される可能性が高くなります。

 

具体的な上限や条件については、以下の見出しで詳しく解説します。

残業や日直者に支給する飲食は福利厚生費

福利厚生費として計上できる飲食代は、勤務時間外の残業や日直などの際に提供する食事代です。従業員の健康推進の一環とみなされているからです。

 

福利厚生費として計上される食事代に明確な金額の上限は設けられていないというの現状です。原則的に食事代は全額を福利厚生費として計上できるということです。

 

しかし、あまり高すぎる金額は給与所得とみなされ、福利厚生費とみなされないケースもあります。一般的には1,000~1,500円程度の食事代なら、福利厚生費として計上しても問題ないとされています。

飲食代は給与や交際費に該当する場合がある

福利厚生費として計上できる飲食代は、残業や宿直・日直などで提供した食事代のみです。ただし、提供の方法にも注意が必要です。

 

残業を行った職員に対し、勤務後に居酒屋で一緒に食事をしたとしましょう。この場合は、福利厚生費ではなく交際費と認識される可能性が高くなります

 

また、接待などの目的で高価な食事などを用意した場合、これらも福利厚生費ではなく交際費となりますので注意してください。

飲食費を福利厚生費とするための3つの条件

飲食費のすべてが福利厚生費として認められているわけではありません。それでは、どのような飲食費なら福利厚生費として計上しても問題ないのでしょう。

具体的な条件は3つ存在します。その3つの条件についてそれぞれ解説します。

全従業員を対象とする支出であること

福利厚生費とは、従業員の生活向上や健康維持を目的とした支出のことです。飲食代についても同様で、従業員の生活向上や健康維持を目的とした飲食なら、その費用は福利厚生費として認められます。

 

具体的には、忘年会や打ち上げなどを社内の行事として行った場合、従業員全員や相当数が参加していたなら福利厚生費として計上できます。「慰労」という目的で行ったとみなされるからです。

 

ただし、一部の部署や会社全体の社員数に対して参加人数が少ない場合は、給与や交際費としてみなされるので注意しましょう。参加人数によっては福利厚生費としては認められないケースがあるということです。

飲食にかかる支出の50%を従業員が負担し、会社負担が3,500円(1人あたり)を超えないこと

勤務時間中の食事代が福利厚生費としてみなされる条件として、費用負担も挙げられます。具体的な食事の費用負担の条件は以下の通りです。

 

  • 食事代にかかった費用の50%(半分)以上は、従業員が負担している
  • 会社が負担する食事代の費用は、1人当たり月額3,500円以内であること

 

勤務時間中に社員に提供した食事代を会社が負担した場合、その食事代は福利厚生費としては認められません。会社側が負担する金額は、食事代にかかった費用の半分だけと定められています。

 

また、1回の食事代の半額を会社が全額負担という条件を満たしていても、1人当たりの月額は3,500円までと決められています。この金額を超えると、福利厚生費としては認められないので、注意してください。

 

 

社会通念上(常識)の範囲での飲食であること

福利厚生費として認められる食事代は、常識の範囲内での飲食であることも重要です。具体的な常識の範囲内とは、以下の通りです。

 

  1. 会社が購入することが前提となって賄われている食事
  2. 高すぎると判断されない飲食

 

1つ目の「会社が購入することが前提」とは、具体的には社員食堂やお弁当が挙げられます。これらは会社側で購入して用意し、社員に提供される食事なので、福利厚生費として認められます。

 

2つ目の「高すぎない飲食」は、高級料理店の食事は福利厚生費として認められないということです。会社側が用意したお弁当を提供したとしても、そのお弁当の金額が極端に高い場合は、福利厚生費にはなりません。

飲食代が福利厚生費ではなく給与に該当する具体的なケース

飲食代は、その中身によっては福利厚生費ではなく給与とみなされる場合があります。そのようなケースに該当すると、福利厚生費として計上した場合は誤りになります。

飲食代が給与に該当するケースとはどのような場合なのでしょうか。具体的なケースを紹介します。

現物支給

食事代が福利厚生費ではなく、給与とみなされてしまうケースとして現物支給が挙げられます。ただ、一口に現物支給といっても、そのくくりは複雑です。

 

一般的に現物支給とは、従業員や社員に対して経済的な利益を提供することです。具体的には食事や住宅などが含まれます。

 

例えば、従業員に昼食としてお弁当を支給したとします。お弁当は現物支給になりますが、この場合は給与とはみなされず、福利厚生費として計上します。お弁当の支給は異例だと覚えておくと良いでしょう。

 

ただし、従業員に昼食代として現金を支給した場合は給与とみなされます。「昼食を購入する」という目的を持って支給したとしても、それは福利厚生費として認められないのです。

月3,500円を超える飲食代

会社の食事負担が1人当たり月額3,500円を超えた場合は、福利厚生費ではなく、給与になるので注意してください。

 

福利厚生費として認められる食事代には、「半額を従業員が負担」と「会社の負担額が1人当たり月額3,500円以内」という2つの条件が設けられています。

 

仮に「食事代の半額を従業員が負担」という条件を満たしていても、会社の負担額が1人当たり3,500円を超えてしまっていると福利厚生費に該当しなくなります。

従業員の一部に支給される昼食代

従業員の一部にしか支給されない昼食代は、給与とみなされます。福利厚生費として計上すると誤りになるので注意してください。

 

福利厚生費とは、従業員全員の生活向上や健康維持を目的とした費用のことです。簡単に言い換えるなら、差別することなく平等に提供されなければならないということなのです。

 

役員だけや一部の社員や部署だけに食事や昼食代を提供した場合、これは平等とは言えません。そのため、福利厚生費ではなく、給与と判断されます。

飲食代が福利厚生費ではなく交際費に該当する具体的なケース

飲食代が福利厚生費でも給与でもなく、交際費として認識されるケースも存在します。本来は交際費なのに誤って福利厚生費として計上してしまうと、税務調査で指摘されるかもしれません。

食事代が交際費に該当するのはどのような場合なのでしょう。具体的なケースを挙げて解説します。

取引先などの社外関係者を交えた飲食代

福利厚生費の対象となるのは、社員や従業員、そしてその家族です。それ以外の人は福利厚生の対象になりません。

 

パーティーや会食を会社で行った場合、その参加者が従業員やその家族なら、費用は福利厚生費として計上が可能です。従業員や家族の生活向上や健康維持を目的として提供されたとみなされるからです。

 

しかし、もしパーティーや会食に取引先が参加していた場合は、福利厚生費ではなく交際費として認識されます。参加者の大多数を従業員やその家族が占めていたとしても、取引先の人が参加していれば、その時点で交際費になるのです。

接待費や取引先へ渡す飲食贈答品など

取引先へ渡す飲食系の贈答品は、福利厚生費ではなく、交際費に該当します。また、取引先をもてなすための接待費も同様に、福利厚生費ではなく交際費です。

 

「取引先」とは、社外の人間です。社外の人間に何かをする場合は福利厚生費には該当しません。福利厚生費の対象はあくまで従業員とその家族だからです。

 

自社の従業員やその家族に対して、お祝いなどの贈り物をした場合は福利厚生費に該当します。この場合は対象者が自社の職員だからです。

取引先の結婚式での飲食費用

取引先の冠婚葬祭にかかった費用は、福利厚生費ではなく交際費として計上します。ご祝儀やお香典などの費用も同様です。冠婚葬祭は福利厚生費と考えられがちですが、相手が取引先なので交際費とみなされます。

 

また、取引先の冠婚葬祭で負担した飲食代も同様です。社外の人の冠婚葬祭にかかった費用とみなされるため、すべて交際費として計上します。

 

一方、従業員やその家族の冠婚葬祭にかかった費用は、福利厚生費として計上します。対象が社内の人間だからです。ご祝儀やお香典はもちろん、その際の食事代についても福利厚生費として計上するので注意してください。

個人事業主でも福利厚生費は計上できる?

福利厚生費は法人のみと考えられがちです。ここまで紹介してきたケースを見ても、法人を想像していた人は一定数存在するでしょう。

それでは、個人事業主の場合は福利厚生費は計上できるのでしょうか?福利厚生費として計上できない場合とできる場合に分けて、それぞれ解説します。

従業員がいない場合の飲食費

福利厚生費は原則として、社内の従業員とその家族の生活向上や健康維持を目的として支出した費用を指します。これは言い換えるなら、対象となるのは経営者である自分以外の社内の人間ということです。

 

個人事業主として事業を行っている場合、従業員がいないケースも多々あります。この場合にかかった飲食代は、言い換えるなら事業主が使用した飲食代ということです。事業主の飲食代は福利厚生費の原則にそぐわないため、認められません。

 

福利厚生費はあくまで経営者以外の従業員とその家族のために支出した費用だということを覚えておくと良いでしょう。事業主の飲食代は、仮にそれが事業を行っていく上での支出であったとしても福利厚生費には該当しないのです。

従業員がいる場合の飲食費

個人事業主として事業を行っている場合、従業員がいるケースがあります。この場合、条件を満たしていれば、従業員の飲食代は福利厚生費に該当します。

 

ただし、注意しなければならないのは従業員が事業主とどのような関係にあるかです。わかりやすくまとめた以下を参考にしてください。

 

事業主と従業員の関係性 福利厚生費に該当するorしない
赤の他人 福利厚生費に該当する
身内 福利厚生費に該当しない可能性大

 

従業員が事業主の身内であった場合、食事代はプライベートな支出なのか、それとも事業を行っていく上で必要な支出なのかが明確になりにくいという難点があります。このような怪しい場合は、「該当しない」とみなされることが多々あります。

 

また、事業主とは血縁関係にない従業員がいても、事業主本人についての食事代については、福利厚生費には該当しません。事業主本人は経営者とみなされ、従業員として扱われないからです。

福利厚生費に飲食代が計上される条件を深く理解して合法的に節税しましょう

飲食の提供は、従業員の意識や健康の向上を目的とした場合には意義ある行為です。この場合は福利厚生費とみなされ、会社にとっては節税対策にもなります。

しかし、ここまで解説してきたように、福利厚生費に該当する飲食代の条件を把握していないと、脱税の疑いをかけられてしまう可能性も高いと言えます。正しく計上するためにも、税理士に相談することをおすすめします。

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